スーダン対立の裏にロシアの影 武器供与の見返りに“金採掘”か(2023年4月20日)

 混乱が続くアフリカのスーダンで、現地に残る約60人の日本人退避のため、先遣隊が20日にも現地に向け出発します。日に日に激しさを増す戦闘。対立の裏には「ロシア」の存在が見えてきました。

■スーダン新たな“停戦”も失敗に

 日本時間の20日午前3時から始まるはずだった新たな一時停戦も失敗に終わりました。北東アフリカ、スーダンの首都ハルツームでは国軍と民兵組織RSF=「即応支援部隊」の戦闘が続いています。ハルツームでは停電が度々起き、水も食料も枯渇してきています。

 地元の人:「水不足が大問題。皆、苦しんでいる。ボトル入りの飲料水さえ売っていない」

 首都から脱出しようという人々もいます。

 地元の人:「食べ物がありません。スーパーは空っぽで、状況は安全ではありません」「戦闘は続いていて、停戦になっていません。今朝も目の前で人が死にました」

 小児がんを患う子どもたちです。適切な治療ができなくなっていると言います。

 医療施設の責任者:「状況は良くありません。先週の土曜日から子どもたちは薬を服用できていません。病院も見つかりません。あっても古い期限切れの薬を見つけることしかできません」

 20日、日本政府は。

 松野官房長官:「本日、防衛大臣が自衛隊輸送機をジブチ共和国まで移動させ、待機することを命じた」

■約60人の日本人ら退避どうする

 政府によりますと、スーダンには日本人やその家族、約60人が滞在しています。その日本人の国外退避のため、自衛隊の輸送機が今週末にも自衛隊の拠点があるジブチ共和国に出発します。

 ただ、戦闘が行われているのは市街地。ドイツ誌シュピーゲルによりますと、ドイツ政府は在留ドイツ人150人を輸送機で退避させる計画を立てたものの19日、中止したといいます。

 ベルギー人旅行者:「現在、外に逃れる方法はありません。物資も少なく、子どもや母親たちもいます。今朝、母親はひどく泣いていました。200メートル先で空爆があって地面が揺れたんです」

 日本政府は安全が確保されるタイミングを待つとしていますが、今のところそのめどは立っていません。

 NPO法人ロシナンテススーダン事業部・川原尚行代表:「ジブチまでは問題ないですけど、ジブチからこちらに来られるのかなと。現場を知るだけに非常に難しいオペレーションなのではないか。まず、空港が主戦場ということですね。結構、爆撃音とか聞くので、そんななか、どうこちらに向かえるのか。もう1つは我々、邦人が空港まで行くアクセスの問題ですよね。恐らく自力で行かないといけないのではないかと思うが、どうやって行ったらいいのか本当に難しい問題」

■“金利権”で数十億ドル持ち出しか

 首都ハルツームの国際空港をとらえた衛星写真です。航空機が駐機するなか、黒い煙が空高く上がっているのが確認できます。そもそも今回、戦闘が勃発した発端は2019年、バシル独裁政権が崩壊したことです。その後、クーデターで国軍が実権を掌握し、ブルハン将軍が暫定政権のトップに就任。RSFのダガロ司令官もナンバー2に就きました。

 ところが去年12月から始まった民政移管のプロセスのなかで、国軍とRSFの統合を巡り、対立が表面化したのです。国軍とRSFが対立する、その背後にちらつくのがロシアのワグネル。ロシアによるウクライナ侵攻でも兵士を派遣している民間軍事会社です。

 テレビ朝日前カイロ支局長・阿部健士外報部デスク:「スーダンはアフリカでも有数の金の産出国で、ロシアのワグネルはこの金の採掘利権に深く関わっているとされています。この持ち出した金は数十億ドルにも上ると言われていて、そうした持ち出された金がロシアによるウクライナ侵攻でも経済的な下支えになっているとされています」

 スーダンでの金の採掘利権を握っているのが、民兵組織RSF=「即応支援部隊」です。

 テレビ朝日前カイロ支局長・阿部健士外報部デスク:「ワグネルは、見返りとして武器の供与や軍隊の訓練など軍事支援を行っているともされています。ワグネルがスーダンでの金の利権を手放すことは非常に考えにくく、今後も軍事的な支援を続けるものとみられます。スーダンでの軍事政権はより延命されて、国民が求める民主化はさらに遠のくと思われます」

 カタールのアルジャジーラは「スーダンの存在感を示し、利権を守りためにも戦闘に関わっている可能性が高い」とする専門家の分析を伝えています。

 一方、ワグネルは19日、スーダンで活動は行っておらず、戦闘には関与していないと表明しました。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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