【独自】“次の激戦地”ドニプロ市長が激白「準備できている」・・・ロシア軍狙う東部要衝(2022年4月1日)

 ロシア軍が東部侵攻の動きを強めるなか、“次の激戦地”とされるドニプロ市の市長が、番組の単独インタビューに応じました。

■ドニプロ市長「戦火の息遣い近くに」

 優しい微笑みを見せながら、日本語を話すのは、ウクライナ東部の都市・ドニプロ市のボリス・フィラトフ市長です。

 これまでに8回、日本を訪れたこともある親日家です。

 すぐに表情を一変させ、厳しい口調で語り始めました。

 フィラトフ市長:「戦火が息遣いを感じられるくらい近くに迫っている」

 ドニプロ市は、街の9割が崩壊しているマリウポリから300キロ、ロシア軍が攻撃を強めているドンバス地方からおよそ200キロと、比較的距離がありますが、ロシア軍により3発のミサイルが撃ち込まれ、靴工場や幼稚園が被害を受けました。

 燃え上がる炎と黒い煙に包まれた建物。激しく損傷しているのが分かります。この空爆で、少なくとも1人が死亡しました。

 フィラトフ市長:「ロシア軍の兵士は、直接ドニプロの地に足を踏み入れるのを怖がっているのか、ミサイルで遠距離から攻撃してくる。空襲警報が1日に3、4回鳴っている」

 ドニプロ市は、人口およそ100万人。ウクライナ有数の工業都市で、国内の経済を支える重要な拠点です。宇宙ロケットの製造などを主な産業としてきました。

 フィラトフ市長:「元々、ドニプロは宇宙産業でリーダー的な役割を果たしていて、技術者も多い。だから、プーチンは攻めてきているのでは」

■迫る危機(1)殺到する“避難民”

 ロシア軍の侵攻が迫るなか、ドニプロ市は多くの困難に直面しています。

 6歳:「平和と落ち着きが欲しい。私は家に帰りたい」
 8歳:「たくさん兵士がいて、家が廃墟になっています」

 彼らは、激戦地のマリウポリからドニプロ市に避難してきた子どもたち。避難所となっているレクリエーション施設で生活しています。

 7歳:「幼すぎて、言葉にできないけど、すべてを理解していると言いたいです」

 一体、どれだけつらい経験をしてきたのでしょうか。

 フィラトフ市長:「ドネツクとマリウポリ、ルハンシク(ルガンスク)とハルキウ(ハリコフ)から、人がたくさん来ている。車やバスで来ているので、詳しい人数は分からないが、家が攻撃されて住むところのない人が、避難してきている」

 ドニプロ市には、激しい攻撃を受けた近隣の都市からの避難者が殺到しています。

 避難民:「マリウポリから2日かけて避難してきました。ここに来た理由は、医薬品、食べ物、寝具・・・つまり、すべてもらうためです」

 避難所には、様々な支援物資があります。避難してきた人は、申請書に必要な物資や個数を記入します。中には、ここからさらに、国外に逃れる人もいます。

 しかし、避難したくてもできないのが、高齢者です。

 フィラトフ市長:「残念ながら、ここには、たくさんの高齢者が残っています。高齢者は、故郷を離れたくないという人が多い。ドニプロで生活する高齢者は、健康に問題のある人もいるし、今さら外国に避難しても、仕事を見つけられるとは思えないと、残る人が多い」

 高齢者の中には、健康状態が良くない人も多く、ドニプロから、さらに西部へ避難することは難しいのが現実です。

 そこに、追い打ちを掛けるのが・・・。

■迫る危機(2)“次の激戦地”に

 ロシア・フォミン国防次官:「ドンバス解放という主要目的達成のために、力を結集している」

 ロシアは、これまでの首都キーウに対する攻撃は陽動作戦で、これからは東部に投入するロシア軍兵士を増加すると発表しています。

 アメリカ国防総省によると、東部ですでにロシアの民間軍事会社の傭兵(ようへい)およそ1000人が活動しているといいます。

 フィラトフ市長:「ロシアは、ドネツクやルハンシク(ルガンスク)を助けるために攻撃していると言ったが、インフラは攻撃されてなくなってしまった。しかし、この2つの地域は被害が大きすぎて、人が住めない状態だ。そんな状態のところを取って、どうしたいんだと、逆にロシアに問いたい」

 ウクライナ軍は激しい抵抗を続けていますが、アメリカの戦争研究所は、ドンバス地方の制圧に向けて、ロシアが大規模作戦を実行した場合、マリウポリが「数日以内に陥落しそうだ」と予測しています。

■軍事施設が攻撃され・・・2人死亡

 専門家は、ロシア軍の矛先が、ドニプロ市に向かう可能性を指摘します。

 軍事ジャーナリスト・黒井文太郎さん:「ドニプロ市は最前線からは多少後方にあるんですけども。さらにロシア軍が南東、東部から進撃してきて、近付いてくれば、攻撃が激しくなるということが予想されます」

 東部や南部への攻撃が激しくなれば、ドニプロは衝突の最前線となる恐れがあります。

 実際、先月11日の空爆以降、しばらく攻撃はありませんでしたが、先月30日、石油施設が爆破されました。立て続けに先月31日、軍事施設が攻撃され2人が死亡しました。

■ドニプロ市長「準備できている」

 ロシア軍が、どうしてもこの都市を手に入れたい理由。それは、侵攻を進めるロシア軍にとって、重要な軍事的要衝だというのです。

 黒井文太郎さん:「ドニプロは、ウクライナを南北に走るドニプロ(ドニエプル)川のちょうど中程に位置しているんですけども、横に幹線道路が走っている。なので、そこを押さえれば、部隊の移動も速くなる」

 しかし、フィラトフ市長は、このように強く言い切ります。

 フィラトフ市長:「攻撃がくるとずっと覚悟していたので、準備はできている。ドニプロでも、すでに準備して対策を進めてきた。ウクライナ人は国を守るため、家族を守るため、住んでいる場所を守るために戦っている。ロシアが攻めてきたとしても、ロシア軍の死者は、1000人単位ではなく、1万人単位で出ることになるだろう」

(「グッド!モーニング」2022年4月1日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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