「NOWAR」ロシア国内で反戦の動きも、政府系機関の世論調査は“プーチン大統領支持率77.4%”

ロシア政府系テレビの生放送中にスタッフがプラカードを掲げ抗議。その後、警察当局に拘束されるも、ウクライナのゼレンスキー大統領は「偽の情報と戦うロシアの人たちに感謝」と発信しました。ロシア国内でデモや反戦の動きが続く中、強まる“言論統制”。ロシア政府系機関の世論調査ではプーチン大統領の支持率が77.4%という数字もあります。いま何が起きているのか。日本政府の動きもあわせて見ていきます。

■「戦争をやめて」テレビの生放送中に異例の抗議

日比麻音子キャスター:
ロシアのテレビ局でニュースの生放送中に職員の女性が異例の抗議を行いました。番組スタッフの一員であるマリーナ・オブシャンニコワさんが、番組の中で「戦争をやめて、プロパガンダを信じないで、あなたは騙されている」と書かれたプラカードを掲げました。

この抗議が起きたのは、ロシアの政府系テレビ局「第1チャンネル」というチャンネルです。第1チャンネルは、ロシア政府が株式の75%を保有しており、ニュースの他にも娯楽や教育、スポーツなど様々な番組を放送しています。

マリーナさんはこの抗議の後、警察当局に拘束されました。

この件に関して、ウクライナのゼレンスキー大統領は「偽の情報と戦うロシアの人たちに感謝します。ロシアのテレビに入った女性に、個人的にお礼を言いたい」とフェイスブックでメッセージを発信しています。

番組の生放送中に抗議を行ったマリーナさん。その行動を起こす前に、ビデオメッセージをSNSに投稿していました。その内容は「今ウクライナで起きていることは犯罪であり、ロシアは侵略者です。その責任はプーチン大統領にあります。私は第1チャンネルに勤めテレビ画面でうそを伝えることを許した自分を恥じています。抗議集会に加わってください。当局は全員を拘束することはできません」といったものでした。

ビデオメッセージでのマリーナさんは、青と黄色のネックレスをつけていました。お父様がウクライナ人、お母様がロシア人ということで、このネックレスの配色にも何か強いメッセージを感じます。

ホラン千秋キャスター:
政府の影響力も大きいであろうテレビ局でこういった訴えを行うというのは、それだけリスクも大きいことですよね。

TBSスペシャルコメンテーター星治さん:
ロシアの事情に詳しい人に聞いてみると、このテレビ局は警察が近くにおり、局内の警備も厳重。そんな中でスタジオに入って抗議することは簡単ではないはずなので、おそらく周りのスタッフもこの行動を許容する、ないしは支援する動きがあったのではないかと指摘する人がいました。

街頭には出られないが反戦デモを支援しているロシア国民もいるという点で、今回の抗議活動は氷山の一角であり、代表的な動きとなっているように思います。

ホランキャスター:
この抗議を見たロシア国民は「やっぱりな」と思うのか、それともハッと気づかされるのか、どちらのパターンが多いのでしょうか。

星コメンテーター:
準国営的なテレビを見ている人は、今回の戦争はプーチン大統領の言う通り正当であると思ってる人が多いらしいのですが、こういった動きを見ると、ロシア国民も「何か変だな」と感じ始めるのではないかとロシアの関係者は語っています。

■反戦デモで1万人以上拘束 言論統制も

日比キャスター:
ロシア国内でも反戦デモは続いています。ロシア人権団体の情報によりますと、13日だけでも反戦の活動によって拘束された方が、40の都市において924人いたということです。累計では、ここまで少なくとも1万4915人の方が拘束されているということもわかっています。

一方で、言論統制も強まっています。4日、プーチン大統領は法律改正案に署名をしました。その内容は「ロシア軍に関する虚偽の情報を意図的に広めた個人や団体に対し、最大で懲役15年を科す」といったものです。

さらには、海外メディアが報じている内容によりますと、ロシアの検察当局は、ロシア国内に拠点を持つ欧米の企業に対して「政府を批判する幹部を逮捕する。国外に撤退した場合には、企業のロシア国内に残っている資産を押収する」といった内容の警告をしたそうです。

■支持率77.4% 政府による世論調査の信憑性は

日比キャスター:
ロシアの政府系機関による世論調査では、2月28日~3月6日の時点で、プーチン大統領の支持率が77.4%、ウクライナの侵攻前(2月14日~20日)と比べると10.2ポイント上がったという結果が公表されています。

ホランキャスター:
こういった政府系の世論調査ですと、この数字というのはどれくらい信じていいものなのでしょうか。

星コメンテーター:
プーチン大統領は元々「KGB=ソ連国家保安委員会」にいた人物で、“情報” ということに対して非常に神経質なんですよね。ですから、世論調査の操作も含めていろいろなことをやっています。

ロシア国民からすると、最初はウクライナがロシア系の人々を弾圧しているということで、ナショナリズムが高まったんですけれども、最近ではマクドナルドやスターバックスの撤退、ロシアの通貨 “ルーブル” の暴落や、今週ではデフォルトにより国債の金利が払えなくなるかもしれず「これは何か変だな」と思い始めている人が広がっています。

プーチン大統領は、“情報”を巧みに操ることに重点を置いてきましたが、逆にその自分の得意な “情報” に逆襲されるということも、今後あるような気がします。

■ウクライナからの避難民 受け入れた後に必要な支援とは

日比キャスター:
日に日に悪化するウクライナ情勢。日本において、ウクライナからの避難民を受け入れる動きが積極的に行われています。13日までに日本では、ウクライナからの避難民47人を受け入れました。

また、受け入れの対応に関しても変更があり、希望すれば1年間の滞在だけではなく、就労も可能となりました。こういった対応は、1か国目のアフガニスタンに次いで、ウクライナが2か国目ということになります。

そして15日、法務省は避難民に必要な支援を推進するため、対策本部を設置しました。古川禎久法相も「当面の滞在先の確保や生活用品の給付、さらには、日本語教育であったり就労、就学、定住支援など、要望を踏まえて支援内容を検討していく」と述べています。

ホランキャスター:
今現在は、生活の場や物資の提供といった支援が急務だと思うんですけれども、長期的に日本や、それぞれの国の避難先に滞在する場合は、避難民自身の生活力をつけていかなければならないですよね。

星コメンテーター:
単に「かわいそうだから受け入れる」というだけでなく、一緒に生活していく同じ社会の一員として受け入れるということが大事です。ウクライナの隣国ではありますが、ポーランドでは160万人の避難民を受け入れています。地理的な問題はあるが、日本でも受け入れ人数をこれまで以上に拡大していくべきだと思います。
(15日17:57)

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