サウリ・ニーニスト フィンランド大統領 2016.3.9

Sauli NIINISTO, President, Finland
フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領が会見し、記者の質問に答えた。
司会 伊藤芳明 日本記者クラブ理事長(毎日新聞)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)
http://www.jnpc.or.jp/activities/news...

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記者による会見リポート

難民危機にEUは団結を 共通の隣国ロシアとの関係は

中東やアフリカなどから昨年100万人を超える人々が押し寄せ、未曽有の難民危機に見舞われている欧州。フィンランドには3万人以上が入国、人口比ではEUで4番目に多いという。難民受け入れをめぐって対立が続く現状を大統領は、「各国がそれぞれの利害でばらばらに動き、欧州が培ってきた価値観が危機にさらされている」と憂慮の念を表した。

会見の前日(8日)、EUはトルコと難民・移民対策で基本合意に達した。トルコからギリシャに渡った「違法移民」を全員トルコに送還し、その代わりにトルコ内のシリア難民を同数EUが受け入れるというもので、ニーニスト大統領は難民問題解決への第一歩と評価した。同時に、難民受け入れの分担を拒む国に対し、「新規加盟の際に財政援助を受けながら分担を拒むのは不公平だ」と苦言を呈し、EUの団結を強く求めた。

難民の社会統合はフィンランドでも最重要課題だという。統合の鍵は、雇用の確保と子どもの教育だが、国民の失業率も約9%に上り、統合は容易ではなさそうだ。この冬、ロシアから30カ国以上2000人の移民が流入したことも重い負担となっている。

この日の会見でもう1つ注目されたのが「日本とフィンランド共通の隣国」ロシアとの関係だった。フィンランドはウクライナ危機以降EUの対ロシア制裁に加わり、「ミンスク合意が履行されるまで制裁を続けるべきだ」と述べる一方で、プーチン大統領と危機以降数回、さらに数週間以内にも会談する予定であることを明らかにした。ロシアはシリアでもウクライナでも当事者であり、現実的な対応が必要だとして、安倍・プーチン会談も「前向きに受け止める」と賛意を表した。

安全、自然を愛でる国民性、ムーミンと宮崎駿。共通点が多いと言うが、会場に置かれた「男女平等」などの冊子を読むと相違点もまた大きいことをあらためて感じさせられた。

NHK解説委員
二村 伸

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