忖度の政治~草加市議会で市長不信任が可決された原因 2010.9.2

皆さんは「忖度」(そんたく)という言葉を以前から知っておられたでしょうか?不定期な人事異動が常態化し、懲罰委員会が常設された市役所の中で、任命権者である市長や助役の意向を忖度する空気が蔓延することは、職員の自由な発想や常識と良識だけではない、何らかのバイアス(圧力)が掛かることになり、それは決して健全な市役所であるとは言えません。

だれもが自らの可能性を100%開花させることを阻害する力を、ヨハン・ガルトゥング先生は「構造的暴力」と呼びました。

「李下に冠を正さず」、「瓜田に履を納れず」といった言葉も、忖度と同様に今の安倍政権の権力が暴走する状況の中から発信されている語彙でもあります。市議会であれ、国政であれ、権力の暴走に主権者として、市民が、議会が、どのように立ち向かうべきなのかが問われています。

日本の自由と民主主義を守るために、決して風化させてはならない事件として、私たち草加市議会の歴史に刻まれた貴重な体験のひとつとして、この再生リスト(4本の動画)を記録します。

◆事件の概要◆
「贈収賄事件で有罪でも、行政上の不正はなかった」との市長報告に対する質疑の記録映像が見つかりました。木下博信元草加市長は2010年9月2日、自らが任命し、贈収賄事件で逮捕され、有罪判決を受けた元助役の執行猶予期間が満了したタイミングで、この元助役には、「行政上の不正はなかった」などとする議会報告を行い、記者会見まで開いて元助役を副市長に復職させようと根回しを始めました。これに否定的だった議会を悪者に仕立て、木下市長は自己正当化の論理を展開しました。

収賄罪とは、行政権力を握っている立場の人物が、金員を受領して決済行為において便宜を図ることで構成要件が満たされる犯罪なので、これが確定し、有罪判決を受けた助役に「行政上の不正はなかった」という論理は、法を順守し、実行する市長の発言としては、絶対に認められないものでした。

これを受けて草加市議会は、木下博信元市長に対して、不信任を可決(全議員の3分の2以上の賛成で成立)しましたが、市長はこれを不服として、議会を解散。この日本の政治史上にも稀有な事件の根本的な問題点が、木下市長ご本人の言い分を含むこのビデオクリップの質疑に集約されています。

結果的に、議会解散後に草加市議会は木下博信市長への不信任を再議決したので、木下博信元市長は辞職ではなく、「失職」(自動失職)しました。

この事件の最中に議論になったキーワードの中に、「忖度」(そんたく)という言葉が登場したことも記憶から離れません。市長は元助役の贈収賄事件を焼き直し、正当化して、副市長に復職させようと、次のような伝達文書を職員全員に通達しました。

【職員が留意すべき点】(木下博信元市長が職員に伝達)
① 行政として新しい技術・製品等の情報を収集し、積極的に比較検討を図る行為自体を萎縮させてはならない
② 上司からの比較検討の指示を導入・発注の指示と忖度(そんたく)しない
③ 知人・友人といえども利害関係者であれば通常以上に厳しく律する
④ 銀行口座番号の漏洩に注意し、定期的な記帳と内容確認をする
※ 職員としてあらゆる誤解を与えないよう行動を律すること
※ 7月26日、庁内の各所属長を通じ全職員に通知された。

この前後に、瀬戸健一郎が経営する英語塾、自宅、事務所周辺に、右翼の街宣車が回り、当時、まだ新婚だった瀬戸夫人である山川百合子と二人三脚でこれに法的に対応して、街宣活動を止めさせる裁判所の中止命令を勝ち取りました。(現在も有効)

思えば木下市政になってから、埼玉県警による草加市役所への家宅捜索事件は2度も発生しています。最初が「公共工事現場における暴力団組長による恐喝事件」であり、2度目が「公共工事における助役による贈収賄事件」でした。

前者は、木下市長と「親しい関係」(判決文で指摘)にある暴力団組長が、草加市の公共工事現場で工事業者に因縁をつけて、現場から市長に携帯電話で連絡を入れ、金銭を恐喝し続けた事件。

後者は、木下市長が市議会に存在していた異論を抑えて抜擢した助役が「公共工事における暖房機の導入に際しての収賄事件」でした。

既に解決済みだった最初の事件で逮捕された暴力団組長の上部組織が、今回の事件でも暗躍して、執拗な街宣活動を瀬戸に差し向ける異常な事態。瀬戸&山川夫妻にとっては、今から思い返しても、とても怖くて、恐ろしい体験でした。

暴力団と元助役が裁かれた草加市の公共工事に関わる一連の事件から、私たちは「闇の力」の存在を実感し、戦わなければなりませんでした。

草加市が「だれもが幸せなまち」であり、「だれもが大切にされるまち」であるように、結婚してまだ半年目に二人で取り組んだ意義深く、思いで深い闘いでした。

※このビデオクリップは、木下市長と瀬戸議員の草加市議会本会議場でのやり取りの全記録です。公正性を保障するために、双方の言い分を編集することなく、そのまま公開しています。

〇賛成した議員: 
浅井康雄、飯田弘之議長、浅井昌志副議長、宇佐美正隆、佐藤勇、大野ミヨ子、新井貞夫、斉藤雄二、須藤哲也、西沢可祝、今村典子、平野厚子、飯塚恭代、佐々木洋一、秋山由紀子、丹羽義昭、浅井喜久男、松井優美子、須永賢治、田中昭次、大久保和敏、芝野勝利、瀬戸健一郎、中山康(以上24名)

〇反対した議員: 
鈴木由和、小川利八、関一幸、石村次郎、吉沢哲夫(以上5名)

〇棄権した議員: 
小澤敏明(以上1名)

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