震度6弱の記憶…福岡西方沖地震から18年 命を守るため「まずは家族で話してみよう」

福岡市内で最大震度6弱を観測した「福岡県西方沖地震」から、3月20日で18年。いつどこで起きるかわからない地震、日頃からの備えについて考えます。

◆「あの揺れ」がもう一度来たら……
防災無線「ただいま震度6弱の地震が発生しました。住民の皆様は公園に避難してください」

20日午前、福岡市西区の玄界島で実施された防災訓練には、子供から高齢者まで島民約100人が参加しました。市と合同で行う大規模な訓練は4年ぶりで、「震度6弱の地震が起き、火災も発生した」という想定で実施されました。
18年前の2005年3月20日、福岡県北西沖を震源とする最大震度6弱の地震が発生。福岡市内では、コンクリート塀の下敷きになり75歳の女性が死亡、1000人以上がけがをしたほか、多くの建物が倒壊するなどしました。震源に近かった玄界島では、島の7割にあたる153棟の住宅が全半壊するなどの被害が出ました。

◆「とにかくみんなの命を守りたい」住民同士の助け合い
住民はサイレンが鳴って30分ほどで、近くの高台にある公園に避難。その後、住民と消防団が協力してバケツリレーをするなど消火訓練を実施しました。玄界島には警察や市の職員などは常駐していないため、災害時には住民同士の助け合いが重要となります。また、消防のヘリが負傷者を吊り上げて運ぶ手順を確認しました。

RKB永牟田龍太「小学校の体育館では、地元の住民と小学生が協力してテントを立てたり、段ボールベッドを組み立てたりしています」
島民「周りにいる人に声かけしたり、連携を取りながら、とにかくみんなの命を守りたいと考えながら行動していきたい」

◆福岡からトルコの被災地へ
いつどこで起きるかわからない大地震。2月6日には中東のトルコとシリアをマグニチュード7.8の地震が襲いました。多くの建物が倒壊し、死者はこれまでに5万2000人を超えました。

福岡大学病院救命救急センターの看護師、山浦章平さんは国際救急援助隊の一員として約2週間、トルコの仮設診療所でけがの治療や薬の処方などの医療活動を行いました。現地では厳しい寒さで日本から持ち込んだ機材が動かなくなるトラブルもあり、改めて事前の備えの必要性を感じたといいます。

山浦章平さん「いま危惧されている、南海トラフ地震とか、東京首都直下型地震とか、そういうところでは普段予期していないことが起こるので、その場にあったものでやっていく、ない物はどうにかして別の物で代用する。“即興医療”みたいな知識も、地震が起きていない段階で養っておくべきだと思いました」

◆警固断層は「Sランク」 死者1200人とも
国が発表した主な活断層の評価では、福岡県内では警固断層帯の南東部や福智山断層帯が、今後30年以内に地震が起きる可能性が4段階の中で最も高い「Sランク」に分類されています。このうち、警固断層帯南東部を震源とする地震が起きた場合、福岡県の地域防災計画では、死者は約1200人、負傷者は2万2000人以上にのぼると予測されています。

◆「どうするのか家族で話してみよう」
九州大学 三谷泰浩教授「災害はいつも発生するわけじゃないので、平常時の様々な地域の取り組みが被害を最小限に抑えることにつながります」

19日は、西方沖地震から18年を迎えるのにあわせて、防災について考える講演会が開かれ、約230人が参加しました。講師を務めた地域防災に詳しい九州大学工学研究院の三谷泰浩教授は、まずは家庭の中で災害への備えについて話すことが重要だと言います。

九州大学 三谷泰浩教授「災害に対する正しい知識を身につけること。日ごろから共助も自助も含め、家庭の中で災害に関する話をしたり、地域の方々とのつながりを持って災害のことを考える。まずは家庭の中で、災害の話をしてみて、家族でどうするのか考えることが、1つ目の災害に対する取組じゃないかなと思います」

地震が起きた時、どのようにして自分の身を守り、どこへ避難するのか、日頃から家族と一緒に考えることが第一歩となります。

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