ウクライナ軍のドローン部隊に同行取材 最前線のドローン操縦士“人を標的”にすることに「何のためらいも感じない」【news23】|TBS NEWS DIG

戦争で主力兵器となりつつあるドローン。ウクライナ軍のドローン部隊の同行取材が特別に許可されました。最前線の戦場でドローンを操縦する兵士たち。人間を標的にすることには「何のためらいも感じない」と語りました。

■“最前線” ウクライナ軍 ドローン部隊に同行取材「攻撃にためらい感じない」

ロシアとの戦闘の最前線となっているウクライナ北東部ハルキウ州。21日、あたりが暗くなった午後9時、茂みに身を隠しながら軍用車両に荷物を運び入れるウクライナ兵の姿がありました。

増尾聡記者
「ドローンやその爆弾、そういったものを輸送車のなかに積み入れました」

今回、JNNが特別に同行を許可されたウクライナ軍のドローン部隊。ドローンは空からの攻撃や偵察のほか海上での攻撃など、両軍にとっていまや主力兵器ともいえる存在です。

ロシアとの国境からわずか約5キロほどしか離れていないドローン部隊の拠点へと向かいますが…

──なぜ止まったのですか?
ウクライナ軍兵士
「ドローンが飛んでるんだ」

途中、ロシア軍の偵察ドローンが確認されたため、50分ほど身を隠し、再び車を走らせます。

ウクライナ軍兵士
「急いでこちらへ」

増尾記者
「ウクライナ軍のドローン部隊が活動する拠点になります。おそらく民家の地下の貯蔵庫のようなところでしょうか」

ドローンの操縦士、コスタさん。ここハルキウで生まれ育ち、侵攻が始まると自ら軍に志願しました。

ドローンに爆弾を装着します。

増尾記者
「ドローンが設置されました。これが飛んでいき、ロシア軍の方向に向かって、戦車・対人に突っ込んでいくわけです」

パイロットはヘッドセットを着けドローンから送られてくる映像を見ながら、コントローラーで操縦。

今回のターゲットはロシア軍のドローン部隊が拠点とする建物です。ターゲットに向け一気に進んでいきます。そして…

ウクライナ軍兵士
「うまくいった!」

時にはロシア兵を標的にドローンを突っ込ませることもあるといいます。

ドローンの操縦士 コスタさん
「最近、ロシア兵が乗った2台のオートバイに命中させたんだ。ロシア兵も焼け死んだと思う」

──人間に爆弾を突っ込むのは、どんな感情になる?

ドローンの操縦士 コスタさん
「分からない…嬉しいとか、悲しいとか、そういう感情ではない。何か強い感情があるわけでもない。ドローンであれば、ほとんどの人は、標的を攻撃することに何のためらいも感じないと思います」

『ウクライナのため自分の仕事をするだけ』と強調したコスタさん。長引く戦争についてこうも話します。

ドローンの操縦士 コスタさん
「もちろん、いま生きている人生ではなく、ただただ平和な人生を送りたかったと思っています」

■「時にゲームをしているような感覚に」 標的攻撃も「ためらい感じない」

藤森祥平キャスター:
ドローン兵器が兵士たちの感情に変化をもたらしているのでしょうか。

増尾聡記者:
私はいまキーウ近郊にあるドローンの部品を作っている場所にいます。ここには一般市民の方がボランティアとして携わっているのですが、みなさん特別な知識を持っているのではなく、3Dプリンターを使用して兵器のパーツを作っています。

ウクライナ政府は2024年に100万台の“FPVドローン”の製造計画を発表しています。これを後押ししているのがこうした市民の存在です。

戦場を一変させたドローン。操縦士のコスタさんは「時にゲームをしているような感覚になる」「(敵兵に突っ込むときに)従来の兵器よりも心の葛藤がより軽減されているようにも感じます」と話していました。

技術の進歩は戦争の形だけではなく、市民と戦争の関わりであったり、最前線にいる兵士の感情や心理も変えつつあるのだと感じました。

藤森キャスター:
これが今の戦争の形なのですね。

小川彩佳キャスター:
ドローンを操縦する兵士が『ためらいを感じない』と話していました。今後その感情が兵士の中でどのような影響を及ぼしていくのかは未知数です。長引く戦争の末恐ろしさを感じます。

QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
兵士の方はインタビューなので強く気持ちを動かして発言をしたのかもしれませんが、今後PTSDを発症する恐れもあると思います。

彼らは「戦わなければ、祖国を奪われてしまう」という思いで長期間戦争に身を置いています。我々は遠くにいますが、兵士のそういった感情の変化について考えるべきだと思います。

責めるべきは彼ら個人ではなく、こういった状況になった「戦争」です。今後、AIとドローンの組み合わせで、より凶悪な戦争犯罪を生んでしまう可能性もあります。早めに包括的な国際的枠組みを作る必要があるのではないでしょうか。

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<プロフィール>
伊沢拓司 さん
株式会社QuizKnock CEO
東京大学経済学部卒
クイズプレーヤーとして活躍中

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