マラソン開催できる? “猛暑五輪”の暑さ対策は

東京オリンピックの開幕まで7月24日であと2年となり、各地で盛り上がりを見せる一方、懸念されるのが大会期間中の「暑さ」です。注目のマラソン競技は、過去に例のない猛暑での開催も考えられます。果たして競技は無事に行えるのでしょうか。2人の専門家に話を聞きました。

 この日、マラソンのスタート予定時刻と同じ午前7時を回った段階で、新国立競技場前の気温は既に30℃を超え、湿度も70%近くとなっていました。日差しがない朝でも30℃を超える日本の夏に、実際に競技は可能なのか検証しました。コースを一緒に回ってくれたのは、女子1万メートルの日本代表としてアテネオリンピックに出場し、マラソンランナーとしても活躍する大島めぐみさんです。大島さんは「フルマラソンで30℃を超えるレースというのはすごく大変なことが予想される。気温に加えて湿度も高い条件はなかなか見られない」と懸念を示しました。まず、大島さんが指摘したのは「強い日差しを受けて走ることによって、疲労をより早く感じることになる。強い日差しを避ける対策が必要になる」という点です。

 東京オリンピックのマラソンコースは、新国立競技場をスタートし、日本橋や浅草・雷門の前を通り、皇居前など東京都内の有名スポットを回ります。

 大島さんと共に「一番日差しが厳しいポイントがある」ということで向かったのは、33キロ地点の皇居前です。大島さんは「見渡すと分かると思うが、ここは一切日陰のない地点」と話し、皇居前は日陰となる街路樹や建物がない道路が続く“選手にとって大変厳しいコース”だと指摘しました。午前9時前で既に手元の温度計は39℃を超える暑さに達していました。

 続いては、勝負のポイントとなる場所、40キロ地点となるレース終盤の上り坂です。大島さんは「一番レースが動く場所、仕掛けるタイミングの場所になる」とした上で「やはり後半になればなるほど、どうしても日差しが強くなることが、東京オリンピックのマラソンの特徴だと思う」としました。その上で「暑さに対しての体力が、どれだけ温存できたかが最後のポイント」と指摘しました。厳しいレースが予想される今回のマラソンコースについて、大島さんは「気温と湿度によって、外国選手には不利な環境になる。この厳しい条件が日本選手がメダルを取るチャンスになる可能性がある」と語りました。

 一方、オリンピックと都市環境の関係に詳しい東京大学の横張真教授は「過去のオリンピックにない厳しいレースになる危険性がある」とした上で「観客の方がむしろ心配ではないかと思っている」と指摘します。横張教授は「街路樹をなるべく活用すべき。これから2年間はあまり枝を落とさず、木陰が大きくなるようにするといったことも対策になる」と提言します。

 東京都や組織委員会は今後、会場に霧の出る装置を取り付けたり路面の気温上昇を抑える舗装を増やしたりする予定ですが、暑さ対策の課題はまだ多く残っているようです。

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