遺族「頑張ったねと言ってくれると思う」8歳男児死亡猪苗代湖ボート事故、禁錮2年の実刑判決 被告は即日控訴

2020年、福島県の猪苗代湖で航行中のボートに巻き込まれ、3人が死傷した事故で、ボートを操縦していた被告の男に、禁錮2年の実刑判決が言い渡されました。判決を受けたのは福島県いわき市の元会社役員・佐藤剛被告(45)です。判決によりますと、佐藤被告は2020年9月、猪苗代湖で安全確認が不十分のままボートを操縦し、湖に浮かんでいた親子らをはね、豊田瑛大(とよだ・えいた)くん当時8歳を死亡させたほか、母親ら2人に大けがをさせました。

■争点は被害者に気づくことができたかと事故を防げたか

裁判の主な争点は、
①被告が湖面に浮かんでいた被害者に気づけたか(予見可能性)
②適切な見張りを行えば事故を防げたか(結果回避可能性)
の2点でした。裁判の中で検察は、佐藤被告は陸から近い水域を航行し、水上オートバイやトーイングボードを認識していて、湖面に人がいるかもしれないことを予見することが可能だったと指摘。佐藤被告に注意義務があることは明らかとし、被害弁償が一切されておらず、反省の情が皆無でなどとして、禁錮3年6か月を求刑していました。一方の弁護側は、被害者は視認性の低いライフジャケットを着用していて、当時の気象条件などから、被告が注意義務を尽くしたとしても被害者の存在に気づくのは困難だったと主張。被告は当初から捜査に協力し、前科や違反もなく、認識なき過失が争われているとして、無罪を主張していました。

■裁判長「事故は回避できた」被告は即日控訴

24日に開かれた判決公判で、福島地裁の三浦隆昭裁判長は、予見可能性について、「被告は湾内に複数の水上バイクがいたことを認識していて、人が落水する可能性など、湖面に人が浮かんでいる状況は予見できる」と指摘しました。また、結果の回避可能性については、被告立ち会いの実況見分で、現場にライフジャケットを着せたマネキンを浮かせたところ、被告はマネキンの頭や肩は見えたと話していて、「前方左右の見張りを行い、安全確認をすれば衝突は回避できた」などとしました。そして、禁錮2年の実刑判決を言い渡しました。じっと前を見つめたまま判決を聞いていた佐藤被告。
弁護側は、判決を不服として即日控訴したということです。

■母親「瑛大は『頑張ったね』と言ってくれていると思う」

判決言い渡し後、豊田瑛大くんの両親が取材に応じ、母親は「無罪ではないという安心感、実刑で2年という結果になり、安堵して涙が出た」、父親は「できるだけ日常から離れた辛い生活を送って、同じ辛い思いをして欲しい」と話しました。また、判決が出た時「有罪が出たよ」と報告したといい、母親は「元々人のことを悪く言ったりするような子ではないし、争いごとを応援するような子でもない。瑛大は優しいので『頑張ったね』と言ってくれていると思う」と話しました。以下質疑応答
Q.瑛大くんはどんな表情でいると思う?
母親「常に笑っているイメージなので、どんな状況でも笑っている顔しか思いつかない」
Q.朝、瑛大くんにどんな言葉をかけてきた?
父親「言葉をかけたというより、瑛大の遺骨のブレスレットをいつも身につけている」
Q.2年近く、どんな時間だったか?
父親「瑛大を失ったことも、どうしようもない悲しさや怒りや、本当に辛い2年半だった。今後もそれは変わることはない。」
母親「長いとか短いとかはわからないが、意識して考えるとこんなにも瑛大がいないんだなと思う。一段落とはならないが、こういう結果で終われたのは私たちにも大きい」また、父親は「水上の法整備について、これを機に少しでも考えて欲しい」、母親は「一人ひとり意識するのは今すぐにでもできること。水の事故に限らず、子供を先に亡くすこと、こんな辛いことはない。残された方も辛い日々が続く。一人一人の意識がこの事故をきっかけに変わってくれれば何か少しでも変わるのではないかと期待したい」と事故の再発防止を訴えました。

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https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tuf/393442

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