【カスタマーハラスメント】暴言で「辞職」も…“カスハラ”増加なぜ?

秋田県のバス会社が、理不尽なクレームについて訴える広告を出し、反響を呼んでいます。カスタマーハラスメントは増え、犯罪にあたるケースも。専門家によると、増加の背景にはSNSの普及がありそうです。企業や上司はどう対応していくべきでしょうか。

■数年前から「理不尽なクレーム」
有働由美子キャスター
「秋田県の新聞に掲載された『その苦情、行き過ぎじゃありませんか?(カスタマーハラスメントについて)』というタイトルの広告。県内のバス会社が訴えました。太字で『お客様は神様ではありません』と書いています。SNSで拡散され大きな反響を呼んでいます」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「客が乗車賃を支払えず、翌日集金に行ったら『そんなもの払えるか』と怒鳴られた。運転が荒くもないのに『運転手をクビにしろ』。こういった、客からの理不尽なクレームが数年前から相次いでいるそうです」

「バス会社の社長は『普通のクレームはどんどん上げてほしいけれども、カスタマーハラスメント(カスハラ)には毅然と対応していく』と話しています」

■街で聞く…身近なカスハラの実態
小栗委員
「こういったことを経験したことがあるか、5日に都内で聞きました」

ファストフード店勤務
「ドライブスルーで結構並んでしまった時に、『遅いんだけど』っていうのを店の中に来て叫んでくる人がたまにいる。(1日に)3~4回くらい」

ラーメン店勤務
「グラム数を量っているので同じなんですけど、『それが大盛りって言えるのか』みたいな。それで怒鳴られたりとか」

ジム勤務
「雨の日とか(傘立てに)傘が置いてあるんですけど、そこで(傘が)取られて『なんなの?』って。お客さんに対して逆らえないという立場を利用じゃないですけど、(クレームを)すごく言われることはある」

■威力業務妨害、強要…犯罪の可能性も
有働キャスター
「自分ならものすごく腹が立つと思ってしまいましたが、皆さん大変な思いをされていますね」

小栗委員
「厚生労働省によると、犯罪にあたる事例もあります」

「例えば、机を暴力的に叩きながら大声で要求する行為は威力業務妨害の罪に。『土下座しろ!』などと過度な謝罪を要求する行為は強要罪。『ネット上に悪評を流すぞ。誠意を見せろ』などと迫ると、恐喝罪に問われる可能性があります」

「また、働く人1000人に聞いた連合の調査(コロナ禍以降)では、カスハラを経験したことがあるという人は増えていて、13.5%です。心身に不調をきたしたり、仕事を辞めたりした人もいるということです」

■SNS普及で苦情への意識が変化?
有働キャスター
「最近増えているというのは、何か理由があるのでしょうか?」

小栗委員
「カスハラ問題に詳しい関西大学の池内裕美教授によると、SNSの普及で他人のちょっとした不満をよく目にするようになり、『これくらいのことで苦情を言っていいんだ』と意識の変化が起きているようです」

「対策としては、会社が『これはカスハラだ』というガイドラインを作ることが大事といいます。『社員が相談していいクレームが何か、分かりやすくなる』と池内教授は話しています」

■取引先からもカスハラ…企業は?
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「こういうことは、BtoB(企業間取引)の仕事をしている人でも結構あると思います」

「例えば取引先の人が、こちらのスタッフの肩書きなどを見て露骨に態度を変えることや、断りづらい立場を利用したセクハラとカスハラが合わさったようなケースも耳にしたことがあります」

「あくまで相手を選んでやっているので上司が気付けないようなこともきっとあるでしょうし、企業側や上司は、そういうハラスメントがあることを肝に銘じて、毅然とした態度を取るのが大事かなと思います」

有働キャスター
「とは言っても、仮に上司も誰も味方になってくれないということがあれば、『総合労働相談コーナー』で検索してみてください。最寄りの労働局などにありますので、どうぞ遠慮せず頼ってみてください」
(2023年4月5日放送「news zero」より)

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