北朝鮮が16日午後2時50分、開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所を爆破しました。爆破から約2時間後、北朝鮮メディアも異例の速さで伝えました。
 朝鮮中央テレビ:「クズたちと、その行動を黙認した者たちの罪をすべて償わせるべきという激怒した民心に応じて、我々側の担当部署では、開城工業地区にあった北南共同事務所を完全に破壊する措置を実行しました」

南北共同連絡事務所は、2018年4月の南北首脳会談で結ばれた板門店(パンムンジョム)宣言を受けて、同年9月に設立されました。順調に見えた南北関係ですが、2018年9月以降、首脳会談は実現していません。先月31日、韓国の脱北者団体が金正恩委員長を批判するビラを北朝鮮に向けて飛ばしたことで状況が悪化の一途をたどりました。韓国政府はビラをまいた団体を刑事告発しましたが、北朝鮮の怒りは収まりませんでした。金正恩委員長の妹、与正(ヨジョン)第1副部長は、南北共同で設置した開城工業団地の完全撤去や共同連絡事務所の閉鎖などを警告。そして、9日には軍当局間の連絡線が突然、不通になりました。さらに、金与正第1副部長は今月13日、「無用な南北共同連絡事務所が跡形もなく崩れる悲惨な光景を見ることになるだろう」と声明を出していました。

韓国政府は、午後5時からNSC(国家安全保障会議)を開き、対応を協議しました。
 国家安保室・金有根(キム・ユグン)第1次長:「北朝鮮側による南北共同連絡事務所の破壊は、南北関係の発展と朝鮮半島の平和定着を望むすべての人々の期待を裏切る行為。北朝鮮側が状況を引き続き悪化させる措置を取る場合、我々はそれに断固とした姿勢で対応することを厳重に警告する」

日本政府も警戒を強めています。
 安倍総理:「(Q.北朝鮮の爆破による影響は?)北朝鮮が爆破をした、私もそれは承知をしております。南北関係がこれ以上、緊張しないことを我々も望んでいるところであるが、韓国・米国と緊密に連携をしながら情報をしっかりと分析し、対応していきたい」

北朝鮮でいったい何が起きているのでしょうか。
 テレビ朝日ソウル支局・良永晋也記者:「韓国でも様々な議論がありますが、共通しているのは、ビラは口実に過ぎないということです。背景として、まず考えられているのは新型コロナウイルスです。いまだ感染者はいないとしている北朝鮮ですが、1月に中朝国境を封鎖して以来、経済的苦境に立たされています。国民の不満をそらす“ガス抜き”のために韓国をたたいているという説があります。ただし、北朝鮮はコロナ以前から韓国に不満を募らせていました。南北の間で共同事業を進めると約束したのに、アメリカの顔色ばかり伺って前進しない。約束を守れということで、怒りがたまりにたまっていました。つまり、悪化する経済が背景にあって新型コロナが拍車をかけたという構図です。さらに、トランプ大統領に対し、11月の大統領選挙を控えたタイミングで揺さぶりをかけているという分析もあります。コロナ・南北・米朝という3つの歯車が組み合わさって、今回の強硬姿勢につながっているとみられます」

北朝鮮が今後、さらに強硬な行動に出る可能性もあるといいます。
 テレビ朝日ソウル支局・良永晋也記者:「北朝鮮はこれまでに数々の予告をしていて、金与正第1副部長の談話では南北軍事合意の破棄をちらつかせています。そして、16日朝になって『南北の合意で非武装化された地域に軍を進出させ、要塞化させる計画がある』と明らかにしました。また、今度は北朝鮮側がビラまきをすることも示唆しています。これまで予告通りになって来ただけに、実行される可能性は高いと言えます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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