大阪市で月に一度オープンする「食べなくてもいいカフェ」。ここでは、「会食恐怖症」で悩む人たちが悩みを共有しながら安心して過ごせる“居場所”を提供している。
会食恐怖症とは、誰かと一緒に食事をすることに対して強い不安や緊張を抱く症状で「社交不安症」という心の病気のひとつ。例えば、食事を強要された経験などがトラウマとなり、「相手に迷惑をかけるかもしれない」「吐いてしまうかもしれない」などの不安から、会食の場面で動悸やめまいなど体に不調が生じて次第に会食を避けるようになるという。
「食べなくてもいいカフェ」には、オンライン開催を含めると年間で延べ100人以上が参加。ドリンクや手作りのお菓子は、全てセルフサービスで「食べられなくてもいい」体験をしてもらうことを大切にしていて、食べても食べなくても、あえて残してもOK。 参加者は「何でも話すことができる心のより所」などと話す。
“カフェ”のスタッフで、自身も会食恐怖症の当事者である「てるさん」。今回「自分の経験などを伝えられれば」と、食事を兼ねた取材に応じてくれた。 てるさんは小学1年生の時、給食中に吐いたことがきっかけで会食恐怖症を発症。その後も症状に悩んできたが、高校の調理実習で「外で食べるのが苦手だから代わりに食べてくれる?」と友人に頼んだところ「全然いいよ」と返してくれたことが契機となり少しずつ症状が軽減。
しかし、番組ディレクターとてるさんが対面するのはこの日が初めてで「昨日の時点ではこの場で食べようと思っていたが緊張している」と注文することをためらった。てるさんは1人分の量が決まっている定食などが苦手だということで、ディレクターはシェアをしやすい鍋料理などをオーダー。
雑談を交えながら取材を進めていると、時折、鍋に手を伸ばすことも。誰かが頼んだものを“ちょっともらう”状況だったため、少し食べようという気持ちになったという。てるさんは「食べれらなくても、気にすることなく普通に接してくれたらと思う。そういう点からも会食恐怖症を知ってもらいたい」
「食べなくてもいいカフェ」の発起人は、山口健太さん。自身も経験がある会食恐怖症に悩む人々を支援する協会を6年前に設立。年間1000件以上の相談に応じている。山口さんの調査では、会食恐怖症のきっかけとして学校などでの“完食指導”が関わっていると答えた人が6割以上に。山口さんは、教員などに向け、給食指導や食べられない子への対応などについて講演しているが、「食べることが楽しいと思える時間をその子の人生の中に残してあげることが大事」と説く。
“食事を楽しむ”ことは今、学校給食の指導でも大切にされているテーマのひとつ。東京・三鷹市の小学校では、給食の量を3段階に設定し児童自身が食べる量を選べるように工夫。 担任教師は「無理強いせずに自分の1食分の中で食べられる量をしっかり食べなさいと声を掛けている」。 最も少ない量を選んだ児童は「食べやすい量があるから給食が楽しくなった」「食べきれない量だと気まずいから、選べるのがすごくいい」と感想を話した。
(2023年3月31日放送「news every.」より)
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2023/4/26 コミュニティ投稿
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