ニクソン、クリントンとの違い…破られた“暗黙の了解”【トランプ氏起訴の行方2】(2023年9月8日)

戦後のアメリカで、捜査の対象となった大統領はトランプ氏だけではありません。

「ウォーターゲート事件」で辞任に追い込まれたニクソン大統領。
ホワイトハウスの研修生だった女性と不適切な関係をもったクリントン大統領。

この2人には、共通点があるといいます。

クリントン元大統領の捜査に携わった/ローゼンツワイグ氏
「両者ともに基本的に、政治の世界から身を引くことに合意したんです」
「まさに『暗黙の了解』と言えるものです」

クリントン氏の不倫もみ消し疑惑の捜査に携わったローゼンツワイグ氏。
過去の大統領経験者の捜査では、政界から去ることを条件に、起訴しないという「暗黙の了解」があったといいます。

ローゼンツワイグ氏
「ニクソンとクリントンの2つの事例は、私たちに指針を示してくれています。第一に、大統領経験者の起訴には消極的であるべきということ。刑法を使って政敵を告発するということは避けたいものです」

消極的にならざるを得ないのは、「政治的な分断」を煽る恐れがあり、その結果、市民の平和が維持できなくなる可能性があるからだといいます。

ローゼンツワイグ氏は、トランプ氏がこの「不文律」を破ったと指摘します。

ローゼンツワイグ氏
「トランプ氏はその取引を拒否したんです。明確な取引ではないが、公の場からフェードアウトすることを拒否しました。公共の場にとどまることを選んだことで、彼の犯罪行為を無視することはできなくなったわけです。そうしないと、人間が法の上に立つようなシステムを容認することはできないからだ」

トランプ氏は自身に対する捜査について、大統領選挙が始まる前にあえて起訴の時期を合わせた恣意的な捜査だと非難を繰り返しています。

こうしたトランプ氏の持論に対し、ローゼンツワイグ氏は、「自業自得だ」と反論しています。

ローゼンツワイグ氏
「トランプ氏は議会で弾劾された時、『私を有罪にするな』と言った。『刑事的な手続きを進めるべきだ』とも。共和党もそれに同意しました。刑事手続きが始まると、今度はできるだけ手続きを遅らせるためにあらゆる手を尽くした。それがようやく実現した今、トランプ氏は『大統領選挙の真っ只中で、私を裁くのは遅すぎる』と言い出した。トランプ氏の裁判が今、目の前に迫っているのは、すべて手続きを遅らせようとした彼の言動のせいなのです」

日本と異なり、司法の現場でも党派性が色濃く出るアメリカ。
ローゼンツワイグ氏は、トランプ前大統領によって加速したと言われる「国家の分断」が判決に影響を及ぼす可能性を危惧しています。

ローゼンツワイグ氏
「トランプ氏が起訴される可能性は高いとも、低いともいえる。起訴状に記載された証拠は非常に強力なものに見えるので、4つの刑事事件のうち2つか3つは有罪になると予想しています」
「ただ、アメリカでは有罪判決には12人の陪審員の一致が必要です。つまり1人でもNoと言えば決まらない。トランプ氏の支持者が陪審員になれば、証拠が十分だとしてもNoと言う可能性は大いにあります」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

powered by Auto Youtube Summarize

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事