東京・台東区で4歳の次女に、人体に有害な物質を摂取させ、中毒死させたとして両親が逮捕されました。その長期にわたる虐待の状況が少しずつ明らかになってきました。
けさ、警視庁に逮捕された夫婦。殺人の疑いで逮捕された台東区の会社役員・細谷健一容疑者（43）と妻の志保容疑者（37）です。
2人は去年3月、4歳の次女・美輝ちゃんに、人体に有害な物質「エチレングリコール」と向精神薬の「オランザピン」を摂取させ、殺害した疑いがもたれています。
健一容疑者（取り調べに対し）
「関与していません」
健一容疑者は容疑を否認。志保容疑者は黙秘しているといいます。
事件は去年3月13日の午前9時ごろ、健一容疑者の通報で発覚しました。
健一容疑者（119番通報）
「娘が息をしていない」
救急隊が駆けつけたところ、美輝ちゃんがオムツしか身につけていない状態でリビングの床に横たわり、健一容疑者が心臓マッサージをしていたといいます。美輝ちゃんに意識はなく、病院に運ばれましたが、その後、死亡しました。
警視庁によりますと、解剖の結果、美輝ちゃんの体内からは致死量の「エチレングリコール」と向精神薬「オランザピン」の成分が検出されました。
「エチレングリコール」は車の不凍液などに使われるアルコールの一種で、特徴は“味”だといいます。
千葉大学医学部（法医学専門） 岩瀬博太郎 教授
「（エチレングリコールは）一般的には甘いと言われている。ジュースに混ぜたら気づかないのではないか。（摂取の）急性期には麻酔がかかったような意識障害が生じて亡くなる人もいる。慢性期で亡くなるとしたら腎不全」
警視庁はこうした状況を受け、去年8月、自宅マンションを家宅捜索。このとき、2人に任意で事情を聴きましたが、いずれも容疑を否認していました。
押収した2人のパソコンを解析した結果、美輝ちゃんが死亡する1年前から断続的に「エチレングリコール」を含む不凍液と「オランザピン」を購入していたことがわかったといいます。
近所の人
「（去年夏ごろ、捜査員に）ごみ置き場の所に薬液が入ったようなビンが捨てられていなかったか聞かれた」
健一容疑者を知る人は…
健一容疑者の知人
「（健一容疑者は）外車に乗ってきて、すごく派手だった。挨拶しても挨拶しない。居酒屋で一緒になって飲んでいても、（注文した品が）来ないと、居酒屋の店員に怒鳴りつけるような人だった」
一方、一家をめぐっては、2019年3月にある出来事が…
健一容疑者と志保容疑者が激しい“夫婦げんか”をしたことで、児童相談所が子どもへの“心理的虐待”が行われていると判断し、美輝ちゃんを含む子ども3人を保護。このとき、美輝ちゃんは生後2か月で、生後8か月までの半年間、保護されていたといいます。
近所の人
「（Q.美輝ちゃんの姿を見たことは？）見たことはない。きょうだい2人、上の子と下の子。2人しか見たことがない。父ときょうだいの3人で一緒のエレベーターに乗っているのしか見たことがない」
「お母さんがあまり子どもの世話をしているのを見たことがないと聞いた」
さらに、美輝ちゃんは長期にわたり、昼夜を通して保育所や託児所に預けられていたこともあったということで、警視庁は両親が美輝ちゃんについて「ネグレクト（＝育児放棄）」をしていた可能性が高いとみて捜査しています。
さらに、事件があったマンションでは2018年5月に健一容疑者の姉（死亡推定時41歳）が遺体で見つかっていて、警視庁は、姉が死亡したいきさつなどについても捜査を進める方針です。
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