名古屋から能登半島に届けられる万能簡易住宅 開発のきっかけは、東日本大震災で被災した子どもの声 (24/01/11 16:17)

最大震度7を記録した揺れで、多くの家屋が倒壊した能登半島地震。今もたくさんの人が避難所生活を送っています。避難生活の長期化が懸念される中、少しでも安心できる空間を提供しようと、名古屋から被災地に簡易住宅が届けられました。

 10日夜、名古屋から石川県の被災地へ出発したのは、防災工学などを専門とする、名古屋工業大学の北川啓介教授のグループです。

「屋内用のインスタントハウスを100棟と、屋外用のインスタントハウスこれを3つですね。まずは、輪島中学校の方にまいります」(北川教授)

 北川教授らが開発した簡易住宅「インスタントハウス」を、今回と12日の2回に分けて被災地へ運びます。

 地震から11日。多くの家屋が倒壊し、被災者の避難所生活も長期化が懸念されています。

「1週間も10日も経ってくると、プライバシーがない所に身を置くため、ちょっとしたいざこざとかも、避難所で出てきたりするんですよね、悲しいことに。そういう時に暖かくなれるような、お互い仲良く協力し合いながらやってくれる避難所になってもらえるといいなと思いますね」(北川教授)

断熱材で暖かく、雪も積もりにくい設計

 北川教授が届けるインスタントハウスの特徴は――

「屋外用のインスタントハウスは、気球のように大きな膜をブーッと膨らませておいて、その膨らんだ状態で内側に入って、断熱材を吹きつけるんですね。全体が断熱材でくるまれていますので、人が入っただけでも、温度が上がったり、ちょっとクーラー付けておくと、夏でも中は冷蔵庫のように涼しくすることもできますし、遮音性も高いし、窓を開けたりとか、いろんな調整ができます」(北川教授)

 屋根の角度は45度になっていて、雪も積もりにくくなっています。さらに、天井が高く、壁に角がないため、圧迫感がありません。

 運びやすいように、コンパクトにたためられたテントシート。中に空気を送り込み、約4時間で完成です。屋内用は段ボール製で、2重構造でできているため、断熱性などに優れているといいます。

 北川教授は地震直後に1度、現地入りしていて、輪島市の避難所に10棟の屋内用インスタントハウスを届けました。避難していた人と一緒に組み立てたそうです。そこで手伝ってくれた2歳の女の子は――

「その子は私のところに来て『おうちができた!』って叫んだんですよ。お母さんもいらっしゃったので話を聞いたら、家が全壊されたところなんですね。家が亡くなった方が、子どもがおうちが出来たって言ったもんですから、ちょっと私も胸にズキュンと来てですね。すぐその体育館から外に行って、私は号泣しましたね」(北川教授)

 このインスタントハウス。まずは、着替えや授乳、おむつ替え、高齢の方が暖を取る場所などに使えればと考えています。

9年かけて開発「屋外用インスタントハウス」

 北川教授がインスタントハウスの開発を始めたのは、東日本大震災で避難所を訪れたときに、子どもたちから言われた言葉でした。

「彼らがグラウンドの方を指さして、『あそこに仮設住宅が建つんだけれど、できるまで3カ月から6カ月かかってしまう』と。『大学の先生だったら来週建ててよ』って言ってきて……」(北川教授の過去の発言から)

 被災地などで「満足に家に住めない人たちの力になりたい」。9年かけて屋外用のインスタントハウスを開発しました。

 去年2月、トルコで大地震が発生した後にも、現地にインスタントハウスを届けました。

「これから数週間は、これをいっぱい建てていくことになります。仮設住宅が出来てくるフェーズというのが、数カ月後にどこかで来るはずなんですね。皆さんが集まってくる、例えば公民館的な役割として、しかも暖がとれたりとか、カラオケやってもいいし、何かそういう場所がないと殺伐としてしまうので。どんどんお届けできたらと思ってます」(北川教授)

(1月11日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)

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