タカラジェンヌ急死 元花組の証言「下級生を集団叱責」遺族側「上級生がパワハラ」 【もっと知りたい!】(2023年11月13日)

 今年9月、タカラジェンヌが急死した問題で、宝塚歌劇団が外部の弁護士による調査結果を近日中に報告することを明らかにしました。番組の取材に応じた元タカラジェンヌが、「以前から下級生を集団で叱責する特別な指導が続いていた」と語りました。

■「下級生の失敗はすべてあんたのせいや」

 元タカラジェンヌ・東小雪さん:「自分も宝塚の構造に取り込まれて、止めることができなかった」

 「あうら真輝」の芸名で花組の男役を務めた東小雪さんは、2006年まで宝塚歌劇団に在籍しました。退団以降は、自身のホームページなどで劇団の改善を訴えてきました。

 今年9月、入団7年目で宙組に所属する20代のタカラジェンヌが自宅マンションの敷地内で死亡しているのが見つかりました。警察は自殺とみています。

 「共に苦しい時を乗り越えてこそ、絆は深く強くなる」と生徒手帳に記された言葉を信じてきたであろう彼女に、一体何があったのでしょうか。

 10日、遺族の代理人弁護士が会見を開き、死亡の原因を指摘しました。

 遺族側の代理人 川人博弁護士:「上級生のパワハラもあり、健康を損なって亡くなったということ」

 遺族によると、女性は上級生から「うそつき野郎」「下級生の失敗はすべてあんたのせいや」などの暴言を浴び続けていたといいます。他にも、「上級生から前髪を巻いてあげるとヘアアイロンを額に当てられ、やけどを負わされた」と主張しています。

■「長きにわたって続いてきた」悪しき伝統

 一方、劇団側は、1カ月ほど前に調査チームを発足させました。調査結果をまだ公表していないなか、「いじめがあった」とする報道を否定していました。

 宝塚歌劇団 渡辺裕企画室長:「まず否定させて頂きたいのは、加害者・被害者という言葉。加害者も被害者もいない。ヒアリングの結果、本人たちもそんなことはなかったと。(誤って)当たった事実はあり、そこは確認している」

 東さんは、在籍していた頃の宝塚歌劇団の上下関係について、次のように証言しました。

 東さん:「下級生のころというのは、本当にいくら丁寧に接していても、上級生と敬語でもお話できるような環境ではない。特に指導があるような時は、本当に萎縮して独特なものでした」

 厳しい上下関係のなか、上級生からの指導には特別な呼び名があったといいます。

 東さん:「私たち(下級生)の中では“締め”“セレモニー”と呼んだりしていて。とても、清く正しく美しくからはかけ離れているような。面と向かって大きな声で何人もの前で締め上げる、つるし上げるようなことが、少人数でもありました」

 こうした呼び方は、各学年によって異なり、集団で1人を指導するその形から、音楽記号の「フェルマータ」や「ドーナツ」とも呼ばれていました。

 東さんが語る「長きにわたって続いてきた」という悪しき伝統について、ファンからは「上の人が気持ちを切り替えて変えていかないと」や、「古き良き伝統というのはやっぱりあって、それが美しいことにつながっていることもあると思うんですが、きれいごとかもしれないけど、共存できればいい形だと思う」という声が聞かれました。

■遺族の後悔「辞めさせるべきでした」

 遺族側が死亡の原因として挙げたのは、いじめだけではありません。月400時間超えという過酷な労働があったといいます。

 川人弁護士:「約1カ月、わずか1日3時間程度の睡眠しかとれない状況が続いた」

 午前9時から午前0時までのおよそ15時間、びっしり稽古が続き、帰宅してからも書類作成などの業務に追われていました。そのため、「睡眠時間が3時間ほどの日が1カ月も続いた」と訴えます。

 東さん:「(Q.分担して残業時間減らすとかは?)絶対に不可能です。それは絶対にありえないです。一般企業のように何か困っている人がいたら残業を手伝うとか、そういう問題ではないですね」

 遺族側の記録によると、女性が亡くなる直前1カ月の総業務時間は437時間35分。そのうち、残業とされる時間は277時間35分もあったといいます。ここまで追い込まれたのは…。

 川人弁護士:「同じ期のメンバーが当初8人いたんですけど、亡くなった当時は2名しか活動していませんでした」

 相次ぐ仲間の退団により、その分、異常な業務量になったといいます。本来、今年の夏に退団を予定していましたが、残される1人の同期と下級生のことを思い、時期を来年春まで延期していました。

 遺族は「あの時、『自分のことだけを考えなさい』と強く言って、辞めさせるべきでした。なぜそう言ってやらなかったのか。どれだけ後悔してもしきれません」と訴えています。

 宝塚歌劇団の公式ホームページから:「調査結果につきましては、今後の改革の方針とあわせて、近日中にお知らせいたします」

 厚生労働省は、悩みを抱えている人には「いのちの電話」などの相談窓口を利用するよう呼び掛けています。

・「いのちの電話」0570-783-556
・「こころの健康相談統一ダイヤル」0570-064-556
・LINE「生きづらびっと」友だち追加

(「グッド!モーニング」2023年11月13日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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