「ハマス」がイスラエルを大規模攻撃 なぜ今? テレビ朝日元カイロ支局長が解説(2023年10月7日)

 パレスチナのガザ地区を実行支配するイスラム組織「ハマス」はなぜ今、イスラエルへの大規模攻撃を実行したのでしょうか。最新情報と合わせて、テレビ朝日の大平一郎元カイロ支局長の解説です。

 (Q.最新情報は?)
 ここ数年、類を見ないほどの大きなものだといえます。現地からの最新情報によりますと、陸上の部隊だけではなく、パラグライダーを使った部隊、そして海からの地中海を通ってボートを使った攻撃もあったということです。戦闘員は数十人に上るというふうに言われています。

 特に被害が大きかったのはガザ地区に近いスデロトという町で、路上を戦闘員が歩く様子や、SNSの映像にはかなり衝撃的な映像が投稿されています。住宅にハマスの戦闘員が入り込んで立てこもっていたり、兵士を拉致してガザ地区に連れて行ったと、拉致していったという情報も出ています。

 (Q.イスラエルの報復攻撃は?)
 今後のイスラエルの対応については、ネタニヤフ首相が「我々は戦争状態にある。そして敵は代償を支払うことになるだろう」と言っています。実際にイスラエル軍がガザ地区への空爆をすでに始めています。これまでのイスラエル軍の行動原理を考えますと、ハマスによる被害、その数倍どころではなく、数十倍の被害も辞さないのではないかと考えられます。そこまでしないとイスラエルの国論・世論は納得しないというような状況になるのではないかと思われます。

 (Q.攻撃のタイミングは?)
 そして、なぜこのタイミングだったのかについては、考えられることは一つあります。ユダヤ教の祝日のシーズン、最終日の土曜日だったということです。完全に世の中は祝日モード、休日だったわけで、不意打ちをくらったという形になります。実は50年前の第4次中東戦争で、エジプト軍がイスラエルに宗教的な祝日の日を狙って奇襲攻撃をかけ、エジプト軍が大勝利を収めた出来事がありました。今回のハマスもここをついてきた可能性は十分にあり得ます。

 もう一つはパレスチナを巡る国際的な状況の変化というのがあります。これまでは各アラブ諸国がパレスチナの後ろ盾になってきた事実があります。そしてイスラエルに対峙(たいじ)してきたわけです。しかし昨今では、サウジアラビアはイスラエルに接近して、自国の利益のために国交を回復しようというような動きすらあります。こういった動きはパレスチナ側にとって非常に不利な動きと言えます。

 そしてハマスは長らく続く経済封鎖の影響で、ガザ地区は特に経済的な不況にあえいでいます。ハマスに対する不満の声も市民から聞こえるようになってきています。いわば内憂外患の状況がさらに深刻になっている。ハマスとしてはここで大きな動きに出て、事態を打開したいとアピールする、そういった狙いも今回の攻撃にはあると考えられます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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