ロシア軍がウクライナ侵攻直後に占拠したチェルニヒウ州には、“拷問小屋”など被害の爪痕が今も残されています。ここで拷問を受けた人は「いっそのこと、殺してくれた方が楽だと思った」と話します。住民らは当時の記憶に苦しみながらも、日常を取り戻そうとしていました。
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ウクライナ北部のチェルニヒウ州は、ロシア軍が侵攻開始直後から約1か月間にわたり占領した村です。そのチェルニヒウ州を訪ねると、村には今も、当時、ロシア兵が埋めた地雷が残されているおそれがあるとして、警告の看板がありました。
今も村に残る被害の爪痕。占領当時、ロシア軍の拠点となっていた幼稚園は砲撃で壊されていました。
村の幼稚園の園長・ナタリヤさん
「この建物はほとんど壊され、今は地下室だけが残されています」
地下室は、子どもたちがシェルターとして使うはずでしたが、当時はロシア兵が寝泊まりする場所になっていたといいます。
村の幼稚園の園長・ナタリヤさん
「ここに大勢のロシア兵が隠れていました。彼らは民間人を差し置いて、自分たちのためにこの場所を使った」
村を占領したロシア軍は、住民らをウクライナ軍に協力した“スパイ容疑”などの名目で次々と拘束。住民らを拷問する場所として使っていたのがボイラー室です。
私たちは“拷問小屋”の中へ入ってみました。ここでは、住民らは両手、両足を縛られて拷問を受けたといいます。そして、拷問を受けた民間人のうち4人は、その後、処刑されたとみられています。
村の幼稚園の園長・ナタリヤさん
「(ロシア兵は拷問した人を)この穴に落としたのよ。そして、ふたを開けては何度も『まだ生きているのか』と聞き、精神的な苦痛も与えたのです」
ナタリヤさんの夫、ワシリーさんも“拷問小屋”で監禁されていた1人です。
ロシア軍から拷問を受けたワシリーさん
「蹴られたり、殴られたり…。銃の鉄の部分で殴られることもありました」
ワシリーさんは拷問で、ろっ骨と足の骨を折られたといいます。日の光が届かない“拷問小屋”の地下で激しい痛みにもだえながら、10日間過ごしました。
ロシア軍から拷問を受けたワシリーさん
「いっそのこと、殺してくれた方が楽だと思いました」
村からロシア兵が撤退して1年あまり。“あの日の記憶”に苦しみながらも、住民らは日常を取り戻そうとしています。
ナタリヤさんは「私たちはまた、子どもたちの笑い声や遊ぶ声を聞くことができるようになることを心から願っています」と話しました。
(2023年5月19日放送「news every.」より)
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