2019年、脳腫瘍などのため現役を引退した、鹿児島県日置市出身の元プロ野球選手・横田慎太郎さん(27)が2日、南九州市の中学校で講演しました。数々の壁にぶつかった横田さんが子どもたちに伝えたいこととはー。
「こんにちは、横田慎太郎です」
横田慎太郎さんは日置市出身で、鹿児島実業高校を卒業し、2013年、野手としてドラフト2位で阪神タイガースに入団しました。
横田慎太郎さん
「何度も何度も夢見てきたプロ野球選手。本当にうれしかった。努力は裏切らなかった」
入団3年目には、開幕でスタメンを勝ち取るなど将来が期待されていた横田さん。
しかし、そんな横田さんを突然の病が襲います。
脳腫瘍です。
横田慎太郎さん
「野球のことは忘れなさいと言われ、頭が真っ白になりました。放射線治療や抗がん剤治療は想像を絶するきつさでしたが、もう一度プロ野球選手に戻るんだと目標を持ち、厳しい治療と闘っていました」
つらいリハビリを続けたものの、病魔には勝てず、横田さんはユニホームを脱ぐことを決意。
ファームの本拠地で行われた引退試合の日を迎えます。
横田慎太郎さん
「センター(の守備位置)からの約3年ぶりの景色はすごくきれいで、最後に何かやってやるという思いがすごく強くなった」
脳腫瘍の影響で視力が衰えていた横田さんの出場は、守備の1イニングのみ。
背番号124のユニホームをまとった横田さんは走ってセンターの守備位置に向かいました。
スコアは2対2。
ランナー2塁と一打で勝ち越しを許す場面で、相手選手が打ったライナー性の打球は芝の上でワンバウンドし、横田さんのところに。
横田さんはすかさずキャッチし、迷うことなくキャッチャーに送球。
「奇跡のバックホーム」と呼ばれることになるこのプレーに、場内から拍手と歓声が起こり、本人も小さくガッツポーズをしました。
試合後のセレモニーで横田さんは、入団時につけていた背番号24のユニホームに着替え、目に涙を浮かべて声を張り上げました。
横田慎太郎さん
「これまでつらいこともありましたが、自分に負けず、自分を信じて練習して本当に神様が見てくれていたんだと思いました」
横田さんは、引退後、腫瘍が脊髄などに転移し、今も闘病生活を続けながら自分の経験を話す活動をしています。
これから先、様々な困難が待ち受ける中学生たちに伝えたいこととは…
横田慎太郎さん
「絶対に自分に負けず、自分を信じて少しずつ前に進んでみてください。きっと幸せな日がくると思います」
講演を聞いた中学生
「困難に立ち向かっていく姿とか、横田さんの引退試合で成し遂げたことがすごく心に残りました」
「部活でつらい練習などの時に、苦しいことを頑張っていきたい」
「色んな人に感謝しながら色んな人を支えていきたい」
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