これからの時期、特に注意が必要なのが「細菌性」の食中毒です。家庭で食中毒を防ぐにはどのようなことに注意をすればいいのか?深掘りします。
■細菌性食中毒を防ぐには? 6月に多く発生
南波雅俊キャスター:
食中毒に注意が必要な季節です。「細菌性食中毒の月別発生件数」を2022年までの5年平均で見ても6月以降、一気に増えていきます。というのも、気温や湿度が高くなって細菌が非常に増えやすい環境が整ってきます。20℃くらいから増え始めて35~36度、この辺りが一番増えるそうです。
食品微生物センターによると、梅雨時というのは「雨が降ると暑さを感じにくく、食品の扱い方に油断が生じて、食中毒が起きてしまう」ということです。
細菌性食中毒を防ぐポイントの一番は何と言っても「加熱」です。食材の中心温度が75℃で1分以上加熱されると、大半の細菌は死滅します。
ただ、上智大学理工学部・堀越智教授は「電子レンジの加熱は要注意」だとおっしゃっています。電子レンジで「鮭の塩焼き」を2分間加熱したものをサーモグラフィーで見ると、かなり“加熱ムラ”が生じています。赤い部分は100℃近くなっていますが、50℃以下の加熱が不十分な状態になっている緑や青の部分もあるということです。
<対策>
▼食材を細かく・薄くして火が通りやすくする
▼加熱ムラをなくすために、ひっくり返して位置を変える
▼低いワット数でジンワリ温める
例えば700ワットで短時間で温めるより、500ワットで少し長めに温めた方がムラはなくなるそうです。
■“飲みかけ”放置すると…細菌性食中毒に注意
南波キャスター:
身近なもので言いますと、ペットボトル飲みかけ問題があります。これは暑い場所に長時間放置すると細菌が増殖して食中毒の危険性が高まってくるので▼5~6時間を目安に飲み切る▼冷蔵庫保冷剤などで冷やす▼コップに移して飲むという対策が必要になってきます。
<“飲みかけ”ペットボトル飲料 24時間後の細菌数>※食品微生物センターより
ひと口飲んで30度の環境で24時間放置した場合の細菌数は…
▼麦茶:75倍
▼緑茶:約59倍
▼オレンジジュース:約34倍
酸性度が「高い」と細菌は「増えにくい」。
酸性度が「低い」と細菌は「増えやすい」。
お茶なのにどこで差が生じたかというと、麦茶は炭水化物が緑茶と比べて多く、細菌は炭水化物を餌にして増えていくので炭水化物が1つポイントですし、緑茶はカテキンが入ってるので細菌の増殖を抑える作用も少しあります。
<細菌が増殖しにくいのはどちらの麦茶か?>
▼煮出して常温であら熱を取る
▼水だし
正解は「水出し」です。
1回煮ると細菌の大半が死滅しますが、常温で長時間放置するのでここで死滅しきれなかったものが増えるということで、細菌数が1ミリリットルあたり10万を超えると危険ゾーンなんですけど、やっぱり煮出した方が早く10万に達するということです。
■茹でたジャガイモで食中毒 保管場所にも注意
南波キャスター:
6月5日、調理実習で「茹でたジャガイモ」を食べた児童20人が吐き気・腹痛で食中毒にかかったというニュースがありました。
教員が授業の5日前に購入したジャガイモを日光の当たる場所で保管していたということで細菌性が原因ではないんですけど、ジャガイモも日光が当たると皮が緑色になって天然毒素「ソラニン」というものが増えて、これは加熱しても毒素が減りにくいということです。
対策としては、暗くて涼しいところ(約10℃)に保管する。夏場は野菜室(3℃~8℃ぐらい)とかに入れるといいそうです。
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