ターゲット
木村隆二容疑者
「家のことを手伝う、おとなしいまじめな青年」。近所の人からこう思われていた男が、現職首相を狙った襲撃事件を起こした。岸田文雄首相の演説会場の和歌山市で筒状のものを投げ込み爆発させたとして威力業務妨害容疑で逮捕された木村隆二容疑者(24)は閑静な住宅で家族と暮らす「ごく普通の青年」と周囲から見られていた木村容疑者。「事件を起こすなんて信じられない」。近所の人らは一様に驚きと困惑の表情を浮かべた。
「仲がよい家族だなと思っていた」。兵庫県川西市の木村容疑者宅の近くに住む会社員、林和弘さん(58)は昨年秋、木村容疑者が母親と一緒に庭で草むしりをしている様子を目にした。住宅の庭は丁寧に手入れされていた。
木村容疑者の家族は約15年前に引っ越してきたというが、これまで特にトラブルもなかったという。「木村容疑者の家族とは顔を合わせば、あいさつをする程度だが、本当に普通の家族だった」と戸惑う。
地元自治会役員で自営業の熊岡良隆さん(71)によると、木村容疑者は中学生ぐらいまで父親や友人と熊岡さんが営む駄菓子店に買い物に来ていた。「優しい顔でおとなしい子だなという印象」と話した上で、「事件の動機が何だったのか想像もつかない。本当に地域の子がこんなことになるなんてショックだ」と声を落とした。
和歌山県警によると、木村容疑者が所持していたのは筒状の爆発物とみられる。昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件では、殺人罪などで起訴された山上徹也被告(42)が複数の銃を自作。山中で試射をするなどして襲撃に向けた準備を進めていた。木村容疑者も事件前に入念に準備を進めていた可能性が高く、県警は今後、事件前の行動について捜査を進める。
ただ、近所の住民からは「不審な行動」を指摘するような声は聞こえてこない。近くに住む70代の女性は、自宅の壁を掃除する木村容疑者の姿を見かけ、「家のことを手伝うよい子だなと思っていた」という。容疑者宅の2階からは夕方になるとギターの音と木村容疑者とみられる男の歌声が聞こえてきたといい、「まさか事件を起こすような人には見えなかった。信じられない」とつぶやいた。
調べに対し木村容疑者は
「弁護士呼んでから話します」と供述しているという
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