日本の防衛政策が大きく変わろうとしています。5日、岸田総理は鈴木財務大臣と浜田防衛大臣と会談し、来年度から5年間の防衛費の総額について43兆円を確保するよう指示しました。国民の負担増は避けられないとの見方が強まっています。
■ドローンのプロペラを停止させる マイクロ波を使った技術開発中
2022年10月、ウクライナの首都・キーウの映像には、空に向かって警察官が発砲している様子が映っています。
その近くに着弾したのは自爆型ドローンです。映像を止めてみると機体が見えます。
この日、ロシアによるドローン攻撃は複数回あり、少なくとも4人が死亡したといいます。
軍事用ドローンの開発は中国も進めています。11月、航続距離が1万キロを超えるとするドローンを初公開。
中国の兵器製造企業 担当者
「兵器の無人化、情報化、AI(人工知能)化の発展は、ロシアとウクライナの戦闘やシリアでの戦争から学んだものです」
“新たな脅威”に日本はどう対応するのでしょうか。
防衛装備の開発現場にカメラが入りました。
防衛装備庁 二宮勉さん
「高出力マイクロ波の実験装置になります」
国の機関・防衛装備庁では、電子レンジなどに使われているマイクロ波でドローン攻撃を防ぐ技術を開発中です。
果たして、ドローンの機能を停止させることはできるのでしょうか。
「3、2、1、照射!」
マイクロ波を当てるとドローンのプロペラが停止。飛行できなくなりました。
防衛装備庁 二宮勉さん
「ドローンがマイクロ波を浴びて、中の電子回路に瞬間的に強い電流もしくは電圧が発生します。回路が誤動作を起こした状態となっています」
防衛装備庁は2014年度から開発に着手。5年後の完成を目指しています。
これまで約11億円の予算が投じられましたが、今後5年間の予算は大幅に増額されました。
防衛装備庁 二宮勉さん
「2022年度、約72億円の予算をいただいております。先進的な装備につながると考えていますので、我々としては防衛力の強化に貢献できるというふうに考えております」
■防衛費は5年間で43兆円に 将来的には“増税”で負担避けられず?
安全保障環境の変化を受け、防衛費を増額させる方針の岸田総理。
5日、鈴木財務大臣と浜田防衛大臣と会談し、2023年度から5年間の防衛費の総額について43兆円を確保するよう指示しました。これまでの1.6倍に相当する規模です。
ただ、国民には防衛費を増やす方針自体が浸透しているとはいえないようです。
――防衛費を増やそうとしているのは知ってますか?
30代
「知らなかったです」
40代
「知らないです」
20代
「初めて聞きました」
防衛費の増額は将来的には、“増税”というかたちで国民が負担することになります。
60代
「防衛費増やすことに対しては反対ではないです。ただ、それで増税っていうのはちょっと辛いかな。今そんなに所得が増えるわけでもないし」
「あんまり気分は良くないですね。もうちょっと生活の方に回してもらった方が良い気がします」
20代
「税金を上げるなら根拠をもってやってほしいかなと思います」
■将来的には法人税に上乗せか 予算は約43兆円でも具体的な中身提示せず
山本恵里伽キャスター:
政府は防衛費の増額を進めていますが、今の状況を改めて見ていきます。
政府は現在、ミサイル攻撃などの兆候があった場合、発射前に相手国に打ち込むことを可能とする反撃能力について保有できるよう調整を進めています。12月2日には与党間で合意に至っています。
そして、政府はGDP比1%など約5.4兆円を2023年度から増額し、2027年度にはGDP比2%・約11兆円を目指しているのです。
さらに岸田総理は5日夜、2023年度から5年間の防衛費の総額について、約43兆円を確保するよう指示しました。
小川彩佳キャスター:
大きな方針転換となるわけですが、そもそも防衛費の増額自体は必要なんでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩 氏:
まずウクライナ侵攻がありまして、NATO諸国は国防費をGDP比2%以上にしましょうというので、日本も足並みをそろえてほしいという国際環境があります。
日本の場合は米中対立で台湾有事が懸念されているなかで、反撃能力に必要なミサイル発射配備を進めています。それに伴い、▼武器弾薬の調達、▼隊舎の老朽化対策などが防衛費増額の原因になっていますが、5年間で約43兆円という巨額なお金のわりに政府側、特に岸田総理の説明は不足というのが現状だと思います。
小川キャスター:
そしてこれだけの増額が巨額となると財源をどうするのかということになりますが、政府はどう確保しようと?
星浩 氏:
亡くなった安倍元総理は国債で検討していましたが、全部国債というわけにもいかないので、1~2年は国債で繋ぐとしても将来的には法人税の税率を上乗せするかたちで増税していこうというのが政府の計画です。
それに加えて余剰金(埋蔵金)が活用できないか、将来的には富裕層増税も視野に入れていこうというプ…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20221206-6055799)
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