【解説】6月は1500品目以上が値上がり?7月も続く? “防衛術”は

値上げラッシュが止まりません。来週、6月1日からも、さらに多くの商品が値上がりします。何を背景に、どのようなものが、どれぐらい値上がりしているのでしょうか。

「食品1500品目以上が6月に値上がり」
「値上げラッシュはいつまで?」
「家庭でできる防衛術とは?」

以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
■6月「食品1500品目以上」値上げ…上がるものは?
どのようなものが値上がりするのか、確認します。

調味料については、ミツカンの「穀物酢」は6月1日の出荷分から「9円」値上がり、「味の素 50g」は6月1日の納品分から「14円前後」値上がり、また、日清オイリオグループの「家庭用食用油」は7月1日の納品分から「10~20%」値上がりします。

さらに27日、値上げが発表されたものもあります。日本水産では8月1日の納品分から、「活ちくわ」や「海からサラダフレーク」などの家庭用すり身製品が「約5%~20%」値上がり、「ちゃんぽん」などの家庭用冷凍食品は「約6%~20%」値上がりします。
6月1日の出荷分から、日清食品の「カップヌードル」が「21円」値上がり、サンヨー食品の「サッポロ一番」は「60円」値上がりします。アイスクリームでは、森永乳業の「ピノ」、明治の「明治 エッセル スーパーカップ」がそれぞれ「10円」値上がりします。
そして、外食も例外ではありません。6月1日から、カレーハウスCoCo壱番屋の「ポークカレー」が「33円」値上がり(店内飲食の場合、一部地域を除く)、そばチェーンでは、富士そばで「かけそば」が「20円」値上がり、ケンタッキーでは7月6日から、「オリジナルチキン」が「10円」値上がり、回転ずしチェーンのスシローでは10月1日から、マグロやサーモンなどの寿司が1皿「10円」値上がり(一部店舗を除く)するということです。

帝国データバンクによると、6月に値上げする食品は1500品目以上で、7月以降も2000品目を超える値上げが予定されています。

■値上げの主な要因は… エコノミストに聞く
これだけ多岐にわたる値上げの原因について、第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストに聞きました。

次の3つが値上げの主な要因だといいます。

(1)輸入物価の上昇

新型コロナウイルス感染拡大による物流の混乱や、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の上昇を受けて、国際市場でモノの値段が全般的に上がっています。

(2)円安

急激な円安も加わり、海外から入ってくるものの値段がさらに上昇していることがあります。

(3)人件費の上昇

国内の要因として、人件費の上昇ということがあります。もともと日本は、「生産年齢人口」、つまり働ける世代の人の数が高齢化により減少傾向にあります。そこに新型コロナの感染拡大が起きて、外国人労働者が減少しました。このため、低賃金で人手を確保することが難しくなり、結局、人件費を上げざるを得なくなったということです。

■値上げ“しばらく高止まり”? 「この夏ごろまでがピークでは」指摘も
藤代主任エコノミストは値上げラッシュについて、「今後しばらくは、高止まりが続く」とみているといいます。

国際市場での値上がりが、消費者価格に反映されているのは、実はガソリン価格ぐらいで、電気やガス代などは半年ほど遅れて価格が改定されるので、夏から秋にかけてさらに値上がりします。

ただ、藤代主任エコノミストは、「原油価格などの動向などを見ていると、秋以降は価格が下がってくる可能性があるため、この夏ごろまでが値上げのピークではないか」とみています。

■大事なのは「値上げ情報」知ること…専門家に聞く“防衛術”
値上げラッシュが続く中、「日本金融教育推進協会」代表理事の横川楓さんに、家庭でできる防衛術を聞きました。

横川さんによると、大事なのは「値上げ情報を知っておくこと」だといいます。企業の値上げ発表は、だいたい1か月以上前に行われます。こうした情報を先に知っておき、何を買うか計画を立てておくことが大事だといいます。

「ポイント」や「クーポン」をうまく活用することも大切です。ポイントは値上げに関係なくお得になるものです。現金ではなく、ポイントがつくキャッシュレス決済などを使うと、徐々にポイントがたまり、それで買い物ができます。近所のスーパーのアプリをインストールしておくと、クーポンの情報が手に入ったり、特売情報をチェックできたりと、お得に買い物につながります。

「買いだめ」については、値上げ前の商品を駆け込みで買う場合に注意しなければならないことが、2つあります。

(1)賞味期限のチェック

必ずチェックしてほしいのが、賞味期限です。保存がきくものかどうかを考えて買わないと、無駄になってしまいます。

(2)その商品じゃないとダメ?

本当にその商品じゃないとダメなのかを一旦、立ち止まって考えることです。「値上げするから!」と慌てて買うのではなくて、ほかのメーカーや、代替できる商品がないか探してみることです。例えば、各企業が出している比較的安いプライベートブランドの商品にするとか、輸入小麦は高いから値上がりしていない国産の米に変えるためメニューを工夫するといったことも大切だといいます。

    ◇

様々なものが値上がりする中、食品の値上げは日々の食卓やお財布に直結するため、多くの人が影響を受けることになります。これを機会に、いまの日本の社会で適正なものの価格や、賃金の水準とはどういうものなのか、改めて考えてみることも大切かもしれません。
(2022年5月27日放送 「news every.」より)

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