「コロナのような感染はしない」サル痘国内で初確認 致死率は?治療法は?専門家解説(2022年7月25日)

WHO(世界保健機関)が緊急事態を宣言している『サル痘』が、日本国内で初めて確認されました。

感染が確認されたのは、東京都在住の30代の男性です。

東京都・小池百合子知事:「欧州から戻られた海外渡航歴がある30代男性。サル痘患者の発生として、初めて国内で確認された。これは先ほど、都の健康安全研究センターの検査で判明したもの。患者本人は、都内の医療機関に入院中」

厚生労働省:「6月下旬に欧州に渡航。渡航中に確定例との接触があった。7月中旬に帰国。発症日は7月15日。医療機関受診は7月25日。症状は発熱・発疹・頭痛・けん怠感。現在は症状状態は安定。濃厚接触者は現在調査中」

サル痘は今年5月以降、欧米を中心に感染が報告されてきました。これまでに75の国と地域、感染者は1万6000人以上、死者は5人になります。

WHO・テドロス事務局長:「WHOの評価は、サル痘の危険性は全世界・全地域で中程度であるとします。リスクが高いと判定されたヨーロッパ地域は除きます。以上の理由により、サル痘の感染拡大を国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に相当すると判断しました」

インドでも24日に感染者が確認されていて、アジアでの拡大も危ぐされていました。

顔と顔、口と口、皮膚と皮膚など、発疹が出ている感染者との強い接触で感染すると言われています。

WHOが約1万人の患者を分析したところ、感染者の98.8%は男性で、年齢は18~44歳の男性が大半を占めているといいます。

症状は1~2週間の潜伏期間を経て、発熱やリンパ節の腫れが起き、発疹が顔から体中に広がり、そして多くは発症から2~4週間で自然に回復します。

ただ、今回のはこれまでとは違う特徴が報告されています。

岡山理科大学・森川茂教授:「今回のケースでは、発熱とか悪寒がないということなので、発疹が出るまでは全く気がつかないのではないか。発熱がなく元気だから、本人も気づかず他の人に移してしまう可能性がある」

アメリカ在住の男性(26)は先月、サル痘に感染しました。

先月サル痘に感染した男性:「ゆくゆくはアメリカ、とりわけLGBTQ+コミュニティーの私たちにも影響が及ぶのを少し恐れていました」

かぜのような症状が出た時は当初、新型コロナを疑っていたといいます。

先月サル痘に感染した男性:「コロナの検査で陰性が続いていたので、サル痘の初期段階かもしれないと主治医に相談しました。『インフルに似た症状の疾患はたくさんある。様子を見よう」と言われました。しかし3~4日間、熱っぽくなったりした後、斑点があらわれました。腕や手にでき始めました。たった1日のうちに、斑点が30カ所ほどに広がりました。皮膚だけでなく、粘膜や全身に斑点が出て、それがとても痛かったのです」

サル痘は男性特有の感染症ではありません。

WHOは「幼児や妊婦には重篤な病気を引き起こす可能性がある」と注意を呼び掛けるとともに、差別につながることを強くけん制しています。

WHO・テドロス事務局長:「コミュニティーの人々の健康と人権、尊厳を守る措置を取ることが不可欠になります。偏見と差別は、あらゆるウイルスと同等の危険性をはらんでいます。各国への提言に加え、HIV患者と活動した経験を持つ団体を含め、市民社会組織にも偏見と差別との戦いに加勢するよう呼び掛けています」

サル痘には「天然痘のワクチンが有効」とされています。

日本でも備蓄がありますが、接種体制など今後どうしていくのでしょうか。

厚生労働省:「ワクチンの臨床研究は今3つ動いている。1つは患者に投与する。それから、患者と接する医療機関の方に天然痘ワクチンを打つ臨床研究。もう一つは、患者の濃厚接触者、ご家族やパートナーにワクチンを投与する臨床研究」

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◆感染症学が専門の大阪大学医学部・忽那賢志教授に聞きます。

(Q.治療法は確立されている病気ですか?)

治療は原則として対症療法。症状をとるための薬を使うことが原則になります。

日本では未承認ですが、天然痘の治療薬が欧米では使われているケースもあります。

リンパ節の腫れや発熱がない事例もありますし、今回は生殖器に皮疹が多いなど、これまでのサル痘とは違う特徴もあるようです。

(Q.重症化しやすさや、致死率は高いですか?)

症状は重症度の高い『天然痘』によく似ていますが、それよりはかなり低いと言われています。

アフリカだと、これまでサル痘患者の致死率は1~10%程度と言われていましたが、世界で今広がっているのは、西アフリカ型と言われる重症度の低いサル痘ウイルスです。

恐らくそれよりも重症度は低いと考えられます。

(Q.イギリスでの感染者の内訳を見ると、ほとんどが男性です。なぜ男性が圧倒的に多いのでしょうか?)

今のところ、今回の感染者のうち、多くが男性同士の性行為に関連して発症した事例が多いということが分かっています。

ただし、WHOの報告では、感染経路がはっきりと特定できない事例も出ているようです。

(Q.必ずしも男性だけが感染するものではないということですか?)

はい。現時点での感染経路のメインが、男性間の性的接触によるものと考えられるというだけです。

実際に海外では、女性の感染例も報告されています。

(Q.このサル痘の流行とどう向き合うべきだと考えていますか?)

今の流行の感染経路は、性行為がメインです。

飛沫感染やエアロゾル感染がメインの新型コロナほど、爆発的に感染が広がる可能性は現時点では低いと思います。

ただし、性感染症のなかには、例えば梅毒のように、最初は特定のグループで広がっていたものが、流行の過程で性別関係なく広がっていったものもあります。

今は特定の集団で感染が目立っていますが、今後それ以外の集団に広がっていかないかということにも注意が必要だと思います。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2022
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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