砲撃で母親死亡 3歳双子に「心の傷」・・・侵攻後に誕生の子「ロシア国籍」に(2022年6月20日)

 ウクライナ東部の攻防が長期化し、増え続けているのは市民たちの犠牲者です。

 セベロドネツクで妻を亡くしたドミトリ・モスルさん(32)に話を聞くことができました。

 セベロドネツクで妻を失ったドミトリ・モスルさん:「これは戦争ではありません。虐殺です」

 故郷のセベロドネツクで妻と双子の娘と暮らしていましたが、ロシア軍の砲撃で最愛の妻・エレナさんを失います。

 先月、レストランの地下室で避難生活を送っている時に悲劇は起きました。

 セベロドネツクで妻を失ったドミトリ・モスルさん:「食べ物はたき火を使って外で作っていました。妻は料理をするために外に出ていたのです。妻が立っていた場所に砲弾が落ちました。妻は頭蓋骨を損傷して・・・」

 18歳で出会い、人生の半分近くをともにした妻。

 セベロドネツクで妻を失ったドミトリ・モスルさん:「妻と一緒に暮らし始めてから、けんかしたことは一度もなかったです。思い出すのが・・・つらい」

 モスルさんは幼い双子の娘を連れ、ウクライナ西部のベルブカに避難しました。

 娘たちが18日に3歳の誕生日を迎えたなか、母親の死を、いまだに伝えることができずにいます。

 セベロドネツクで妻を失ったドミトリ・モスルさん:「娘たちが『ママ、ママ』と言うことは多いです。『ママはどこにいるの?』と一度聞かれ、『ママは買い物に行ったよ』と答えました。娘たちに精神的なショックを与えたくありません」

 すでに双子の娘たちは心の傷を負ってしまったといいます。

 セベロドネツクで妻を失ったドミトリ・モスルさん:「戦争が原因で暗闇を怖がるようになりました。地下室に隠れていた時は真っ暗でした。大きな音も怖がっています。何かが落下する音などに強く反応するのです」

 “ロシア化”が進む南部のヘルソン州でも、子どもたちの日常が奪われています。

 住民にロシアのパスポートを発給する式典が報じられるなか、ロシア側が新たな方針を打ち出しました。

 ロシア国営(タス通信から):「へルソン州では、2月24日以降に生まれた子どもたちは自動的にロシア連邦の国籍を受け取ります。孤児はすでに受け取っている状況です」

 この一方的な方針に、子どもを育てる母親は怒りを隠せません。

 ヘルソン出身・アンナさん(33):「私たちにとって、これは正真正銘の悪夢です。自分の子どもがロシアの国籍になってほしくない」

 4月までヘルソンで暮らしていたアンナさん。

 夫と3歳の娘とともにキプロスに避難しています。

 母親や知り合いの多くはロシアが制圧するヘルソンにとどまっています。

 その知人女性から聞いた話では・・・。

 ヘルソン出身・アンナさん:「彼女は結婚したので、名字の変更を申請しました。2月24日以降、パスポートで名字を変更したら、自動的にロシアのパスポートと国籍になってしまいます。もちろん希望したのではなく無理やりに」

 強制的な“ロシア化”により、人々の生活や未来が奪われていると涙ながらに訴えました。

 ヘルソン出身・アンナさん:「戦争の話を子どもや孫に語っていくのは私たちです。すべてが早く終わってほしいと全員が願っています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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