コロナ禍で少女たちの居場所が無くなり、SNSを通じて出会った男性の子どもを妊娠することが増えています。
子どもたちが傷つくことがないように、性教育の改善を訴える大学生を取材しました。
札幌の10代後半の少女です。
SNSで出会った男性の子どもを妊娠しました。
コロナ禍でステイホームが求められていましたが、家族との関係が悪く、家にいることができませんでした。
厚労省によると、2020年3~9月の妊娠に関する相談件数は7322件と前年同期に比べ425件増えるなど、予期せぬ妊娠をする女性は増えています。
そうした中、性に関する科学的に正しい知識をもってほしいと活動する大学生がいます。
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「沈黙の返事や、曖昧な返事はイエスじゃありません」
性教育の重要性を訴えるのは、北海道教育大学旭川校の学生、宮坂舞花さん(23)。
この日は、宮坂さんが立ち上げた性教育学生団体「パレット」のメンバーと共に、新入生に向け、避妊具や性教育のパンフレットなどを配りました。
特に、性的な行為の前に相手から明確な了解を得る「性的同意」の大切さを知ってもらいたいと考えていました。
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「自分の身を守る、自分の大切な人を傷つけないための知識や、具体的な方法を伝えたくて(この)キット配りをはじめました」
また、将来自分が教員になった際、正しい性の知識をもって子どもたちに接してほしいと感じています。
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「きちんとした知識を大人側が持っていないと、子どもたちに正しい知識を伴って接することもできないし、子どもたちに正しい知識も伝えられない」
活動のきっかけは2020年。留学先のノルウェーでの経験でした。
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「自分が受けてきた性教育や知識や価値観が、周りの学生たちと全然違うなと。すごく自分とのギャップを感じましたし、彼らは自分が選びとれる避妊法をいくつも知っているし、ライフスタイルや性格に合わせて選び取れている」
国が定めた中学の学習指導要領では、妊娠の経過を扱わないものとするとされています。
そのため中学校までの授業では、性交や避妊などについて教えないことになっています。
宮坂さんが6月に行った、旭川市内の高校での出前授業。
授業で教えられる知識だけでなく、どうしたら自分や相手を傷つけずにいられるか、それぞれに考えてもらい、自由に発言してもらうことにしました。
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「性欲っていいもの?悪いものどっちだろう?」「自分勝手にならないために、何ができるかな?」
高校生:「相手の意見も取り入れる、嫌なことは嫌って言う」
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「言わないとわからないよね。察してっていうのも限界があるよね」
高校生:「避妊する、無理強いしない」
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「確かにね!1人ですることじゃないからね」
「性的同意」の大切さも伝えます。
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「沈黙な返事や曖昧な返事は、イエスじゃありません」
女子高校生:「相手のことを気遣うとか、いろんなところに配慮して自分の身体を自分で守るというところが一番印象に残りました」
男子高校生:「性に対する認識の仕方、男性と女性でどういう意識の持ち方の違いがあることを知りました」
一方、コロナ禍は性教育だけでは十分でないことを浮き彫りにしました。
休校で居場所を失った少女が、性被害にあうケースがありました。
札幌の10代後半の学生、みのりさん(仮名)。
親からの暴言に悩んでいて、家は居場所ではないと感じていました。
みのりさん:「存在を否定するような言葉を言われたり、すごく大声で怒鳴られたりした」
コロナ禍で学校もなくなり、友人に相談することもできなくなりました。
SNSで気持ちを発信するとたくさんの男性から連絡があり、会ってみることにしました。
みのりさん:「男の人はその時だけかもしれないけど、私に優しくしてくれるし、私のいまの状況や嫌なことを誰かに聞いてもらえるだけでよかった」
その後、SNSを通じて出会った男性の子どもを妊娠していることがわかりました。
支援者につながり、居場所を見つけることができましたが、出産後の生活に不安も感じています。
みのりさん:「私と赤ちゃん2人だけだから、そのあとの赤ちゃんのお世話とか、初めてだし、結構大変そうだと思っている」
性教育の改善を訴えている宮坂さん。
地元・北海道旭川市で若い女性の支援を行う団体の活動にも参加しています。
団体ではクラウドファンディングで資金を集め、困難を抱えた女性たちが宿泊できる新しい居場所を作りました。
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「教育は予防ですけど、今まさに困っている人たちの手助けをしたいなと思っていた」
予期せぬ妊娠に悩んだり、不確かな情報に惑わされることがないように。
宮坂さんは正しい性の知識を持つことは、人権を守ることと同じだと考えています。
性教育学生団体 Palette 宮坂 舞花さん:「(性の情報は)はしたないとか行き過ぎたというものではなく、思い描くライフプランを適切に実行していくために不可欠な知識、自分らしく生きていくために必要な教育、だからこそ性教育は人権の教育だと思います」
文科省は2021年4月、幼児期から大学生まで年齢ごとに学べる教材を公表しました。
また妊娠に悩んでいる方たちへの電話相談もあります。
・円ブリオ北海道:011-702-2622
・にんしんSOSさっぽろ:080-4621-7722(LINE・メールも対応)
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