東京・中央区の認可外保育施設で2016年、うつぶせで寝ていた1歳の男の子が亡くなりました。この事故について有識者でつくる検証委員会が8日、検証の結果をまとめ、施設側の保育体制の不備を指摘しました。事故から1年となる中、遺族の思いを聞きました。
一人歩きを始めたばかりの不慣れな足取りで、大好きなお母さんの方を振り返る男の子──。1歳2か月の甲斐賢人ちゃんはこの翌日、帰らぬ人になりました。2016年3月、賢人ちゃんは中央区にある認可外保育施設でうつぶせで寝ていたところ、心肺停止となり、搬送先の病院で死亡が確認されました。母親の有紀さんは「息子はよく笑う子で、自分からニコってする。本当に愛情たっぷりに育てた」と振り返ります。
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弁護士や大学教授らによる事故検証委員会は8日、東京都に対し、事故の概要や課題をまとめた報告書を提出しました。報告書によりますと、事故が起きたのは子どもたちが昼食を食べ終え、昼寝をしている時でした。賢人ちゃんは「目覚めて泣くことがある」として、他の子どもとは別の部屋でうつぶせにして寝かしつけられました。職員はこの部屋から離れていましたが、そばを通る時に様子を確認していたということです。そして寝ついてから2時間半後、職員は賢人ちゃんの異変に気付きました。母親の有紀さんは事故当時を振り返り、「(施設の職員から)賢人君の状態がおかしいので中に入ってくださいと言われた。駆け寄って人工呼吸をしたのですが」と語りました。
報告書では、職員が担当を決めずに全ての園児に関わっていた体制に問題があったと指摘しました。また、勤める職員が頻繁に変わり、子どもの状態を把握できなかったために、異変を早めに気付けなかった可能性があるとしています。さらに、今回の事故を受け、東京都や区市町村に対して、子どもの生活習慣を把握するまでは必ずあおむけで寝かせて、安全確認をするよう求めています。
一方、保育所を運営する企業は「報告書が手元にないので東京都に内容の確認をしています。提言などがあれば真摯(しんし)に受け止めていく方針です」とコメントしています。
母親の有紀さんはこれから保育施設での死亡事故の再発防止を広く訴えていくつもりです。
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