米 物価上昇が感謝祭を直撃 市民生活に影響

シリーズ「現場から、」。アメリカでは今週、「感謝祭」を迎えますが、歴史的な物価の上昇が感謝祭に欠かせない“あるモノ”にも大きな影響を及ぼしています。

 アメリカ・東部メリーランド州にある農場。東京ドーム2個分の広大な敷地で飼われているのは・・・

記者
 「こちらの農場では2万羽の七面鳥が育てられています。ただ、今年は七面鳥の値段が大きく値上がりしています」

 アメリカでは11月の第4木曜日を感謝祭として祝い、家族で集まって七面鳥を食べるのが恒例です。今年は25日が感謝祭にあたり、まさに今が七面鳥の出荷のピークですが、卸価格の上昇はやむをえないと、オーナーのボーラーさんは話します。

七面鳥農家 クリス・ボーラーさん
 「価格は去年に比べて12.5%上がりました。全てのモノが値上がりしています。えさ代、燃料代、そして、人件費も上がっています」

 エサのトウモロコシや大豆の価格が上昇。人手不足を補うため、従業員の時給も引き上げざるをえませんでした。そして、深刻なのは燃料費です。小屋の温度を保つための暖房費やトラクターなどの燃料費は去年の2倍になったといいます。

七面鳥農家 クリス・ボーラーさん
 「車にガソリンを70リットル入れるのとは話が違います。我々は3万7000リットル買いますから。大きな打撃ですよ」

 アメリカでは新型コロナウイルスからの景気回復で需要が拡大する一方、供給網が混乱し、物価が上昇しています。10月の消費者物価は、およそ31年ぶりの上昇率を記録。中央銀行にあたるFRBが目標とする2%の上昇を大きく上回る状況が続いていて、市民生活にも影響が出ています。

市民
 「買う物を減らしています。さらに物価が上がれば、必要なものしか買いません」
 「ガソリンの値上がりで旅行が難しくなりました。ホリデーシーズン近くの物価上昇は残念です」

 なかでもガソリンの高騰は顕著で、バイデン政権は原油価格を引き下げようと、先週、日本や中国などに備蓄する石油を協調して放出するよう要請しました。

アメリカ バイデン大統領
 「ガソリンからパンまで全てが値上がりしている。賃金は上がっているが心配だ。物価上昇など課題に直面している。原因を追究し、正面から取り組む」

 もっとも、明るい変化もあります。去年の感謝祭は新型コロナの影響で家族で集まれなかった人が多く、小さい七面鳥が売れ筋だったと言いますが、今年は大きなサイズの七面鳥を求める客が相次いでいるのです。

七面鳥を買った人
 「(Q.どれくらいの大きさですか?)だいたい14キロですね。今年はいろんな場所から集まります。プエルトリコからも家族が来ますよ」
 「今年はたくさん集まる予定です。友達も集めて祝いますからね」

 新型コロナワクチン接種の広がりで、久々に家族が集まるという人も多く、「感謝祭だけは財布のヒモを緩める」という声も多く聞かれました。(22日11:03)

#物価上昇 #感謝祭

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