プーチン氏「不滅の連隊」パレード参加か “ブレーン”語る戦勝記念日の重要な意味(2022年5月8日)

ウクライナで戦果があがらない中、プーチン大統領はあす9日どう動き、何を語るのでしょうか。
政策ブレーンとしてプーチン氏とつながりを持つ人物に話を聞きました

▽“パレードの準備”北方領土でも
世界が注目するあすの記念日を前に、モスクワ中心部は意外なほど静か。
会場付近ではすでに一部通行止めになっている所もあり、赤の広場は立ち入り禁止に。厳重な警備体制がしかれています。
戦勝記念日のお祝いは、我が国固有の領土でも・・・北方領土最大の島、択捉島です。
母親「この街の火山はどこ?」
子ども「あそこだよ」
母親「美しいと思う?」
子ども「うん」

ロシアによる実効支配が続く択捉島。5月に入って少しずつ春らしさが感じられる季節になってきました。
一方、街中を走る車には国旗が掲げられ・・・戦争を支持するZのマークも・・・
戦勝記念日を祝うメッセージがいくつも掲げられています。あす9日、島内ではパレードも行われる予定です。

▽あすプーチン大統領は何を語るのか
記念日に先立ち、ナチス・ドイツと戦った兵士や犠牲者の写真を手に歩く市民パレード、「不滅の連隊」も始まっています。
ロシアで「大祖国戦争」と呼ばれる第2次世界大戦のナチス・ドイツとの戦い。民間人を含む2600万人以上が犠牲となり、「戦争で無傷だった家庭はない」と言われています。

5月9日はその勝利を祝い犠牲者を追悼するロシア最大の祝日。2019年にはロシア全土で1000万人以上が「不滅の連隊」に参加しています。

ウクライナでの戦闘が続く中、軍事パレードに登場する兵器や兵士の数は去年よりも少なくなる予定です。
戦場にさらに大量の兵士を動員するため、プーチン大統領が「戦争」を宣言する可能性も指摘されています。しかし・・・
(プーチン大統領の“ブレーン” アレクセイ・ムーヒン氏)
「プーチン大統領が『戦争宣言』をする、または特別軍事作戦の変更を何らかの形で示す兆候はありません」
こう語るのは、2012年からロシア下院の専門家会議メンバーを務めた政治アナリスト、アレクセイ・ムーヒン氏。
今も毎年意見交換するというプーチン氏の“ブレーン”です。
(プーチン大統領の“ブレーン” アレクセイ・ムーヒン氏)
「戦勝記念日は、ロシア人の気持ちが高揚する最大の祝日です。開戦や総動員令など国民にとって期待外れになるような発表に、プーチン大統領がこの日を選ぶとは思えません」

▽プーチン氏「不滅の連隊」に参加か
2015年、「不滅の連隊」のパレードに初めて参加したプーチン大統領。
手にしていたのはレニングラード包囲戦に従軍し、重傷を負ったという父親の写真です。
今年のプーチン氏のパレード参加には重要な意味があるとムーヒン氏はいいます。
(プーチン大統領の“ブレーン” アレクセイ・ムーヒン氏)
「モスクワのメインストリートが人々で完全に埋め尽くされ、そのパレードの先頭をプーチン大統領が歩くのです。これは大統領と国民が一体であることを強調する重要な方法のひとつなのです」
ロシア西部ボロネジ州の知事は、今年のパレードではウクライナで死んだ兵士らの写真を手に行進するよう訴えています。
ウクライナ侵攻を「ネオナチとの闘い」と主張するプーチン大統領。パレードをウクライナ侵攻の正当化に利用しようとしているとの反発が広がっています。

2012年、シベリアの街で最初にパレードを始めた市民団体は「非国家的・非政治的な市民の発意による活動」という本来の趣旨とは違うとの声明を発表しました。
(「不滅の連隊」創設メンバー イーゴリ・ドミトリエフ氏)
「(プーチン大統領が初参加した)2015年に政府から『これからこの連隊は別の者が組織します』と言われました。どの家庭にも第二次世界大戦に参加して犠牲になった人が少なくとも一人はいますから。彼ら(政府)にとってそれを利用しない手はないのです」

▽“プーチン氏の戦争”はいつまで?
ウクライナ侵攻後、大きな節目となる戦勝記念日。プーチン大統領は戦争をやめるつもりはないのでしょうか?
ムーヒン氏は、西側諸国が妥協しない限り、戦争の終わりは見えないといいます。
(アレクセイ・ムーヒン氏)「西側諸国は妥協が必要です。妥協しなければヨーロッパは惨事になります」
大統領就任当初はNATO入りも目指し、西側諸国との協調路線をとっていたプーチン大統領。
しかし、それが対決路線に転じる決定的な出来事があったといいます。
(アレクセイ・ムーヒン氏)「鍵となる局面はイラク戦争だったと思います。この時からプーチン大統領の中にNATOの政治家たちに対する極めて深刻な不信感が生まれたのです」

2003年、大量破壊兵器を保有しているとしてイラクに攻撃を開始したアメリカ。
プーチン大統領は国連の同意を得ないまま攻撃したアメリカをこう批判しています。
(プーチン大統領)「この戦争はいかなる理由でも正当化されない。武力が法律にとって代わることを許せば、力の強い者が好きなように目的を達するようになる」
結局、フセイン政権は崩壊しましたが、大量破壊兵器は見つかりませんでした。
(アレクセイ・ムーヒン氏)「(米国は)他国に自国の意志を押し付ける、その事実に我々は気づきました。プーチン大統領と話しているとき、西側諸国にだまされていることに露骨ないら立ちを感じました」

一方、経済顧問を務めたイラリオノフ氏は、プーチン大統領はイラク戦争で“超大国への憧れ”を抱いたと指摘します。
(プーチン大統領の元経済顧問 アンドレイ・イラリオノフ氏)
「もしもアメリカがイラクを攻撃していいのであれば、ロシアもジョージアやウクライナを攻撃してもいいだろうという結論に至ったのです。現代では通用しない“超大国の利益”が優先されるという考え方です。」

プーチン大統領にとって今回のウクライナ侵攻は、これ以上アメリカに騙されないための決して引けない戦いなのだとムーヒン氏はいいます。
(アレクセイ・ムーヒン氏)
「人はだまされていると分かると、最初は悲しい気持ちになり、続いて腹が立ってきます。そして怒りの感情がやってきます。プーチン大統領はただ単に、もうこれ以上、自分もロシアもだまされない、そのためにできることをすべてやっているのです」

5月8日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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