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ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中、首都キエフなど4つの都市から市民を避難させる試みは、戦闘が収まらず、7日も実現できませんでした。
こうした中、ロシアとウクライナは停戦に向けた3回目の交渉を行いましたが、依然、双方の立場の隔たりは埋まっていません。
停戦交渉がうまくいっていないのはなぜ?住民避難は実現するのか?
そして今後の戦況の見通しは、国際部北村雄介デスクの解説です。
Q.双方の立場の隔たり全く埋まっていないように見えます。原因はどこにあるのでしょうか。
A.戦況で優位に立つロシア側が、そもそも停戦に消極的だからです。
アメリカ国防総省によりますと、ロシアは国境地帯に集結させた戦力のほぼ100%をウクライナに投入したということです。これまでの戦闘はいわば序盤戦。これから本物の戦争が始まることが懸念されています。
これに対してウクライナ軍は、当初から総動員令を発令し、首都キエフや東部のハリコフ、南部のオデッサなど主要都市で、ロシア軍を迎え撃つ構えです。
ロシア軍の圧倒的な火力や航空戦力に対して、ウクライナはよくもちこたえている言われていますが、それでも戦況の優劣は明らかです。
優位を自覚するロシアから交渉で妥協を引き出すのは容易ではないと思います。
Q.一方で、住民を避難させる試みが、3日続けて暗礁に乗り上げています。今後、速やかな避難につなげることができるのでしょうか。
A.そう簡単には実現できないと思います。
こちらがロシア側が示した避難ルート。
キエフ、スムイ、ハリコフ、それにマリウポリなどを対象に、少なくとも6つのルートが設定されています。
しかしそのうち4つ、赤い線はロシアやその同盟国のベラルーシが避難先と設定されています。
住民は、侵攻してきたロシアに対して強い恐怖心と敵意を抱いていますから、とても受け入れられるものではありません。
また黄色の、ウクライナ国内への避難ルートでは戦闘が続いているため、住民は身動きが取れない状態です。
設定されたルートからもロシア側の停戦に消極的で交渉に高圧的な姿勢が読み取れると思います。
Q.今後の戦況はどうなりそうですか。
A.南部と北部の戦況に注目しています。
南部はオデッサ。ウクライナ最大の港湾都市で、南部の最重要拠点とされています。
ここが陥落すると、ウクライナは海の物流と遮断されてしまいます。
そして最大の焦点が、首都キエフの攻防です。
ロシアは、キエフを取り囲むように軍を配置し、ゼレンスキー大統領に対して、降伏するよう、圧力を強めています。
しかし今のところウクライナ側に降伏の兆しはなく、市民も徹底抗戦に備えています。
トルコで10日に予定されている三者会談が、停戦実現のきっかけになるのか、それとも成果を得られず全面戦争に突入してしまうのか、世界は固唾をのんで見守っています。
#ウクライナ #ロシア #NHK #おはよう日本 #解説
【出演者】
北村雄介(NHK国際部デスク)
【放送情報】
NHK 総合 毎週(月~金)午前 5:00~/(土)午前 6:00~/(日)午前 7:00~
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