“仙台のシンボル”傾く ライフラインに打撃 宮城、福島で震度6強(2022年3月17日)

 16日夜に宮城県と福島県で震度6強を観測した地震。「大動脈」である新幹線や高速道路が寸断されるなど、一夜明けて「被害の全貌」が明らかになってきました。

 一面割れた皿やコップが散乱する陶器店。高価な器の無残な姿に言葉を失います。

 加藤陶器店・加藤吉康社長:「1個5万円、10万円というのが並んでいる。言葉がない。ここ10年、20年で何度やられたことか」

 仙台城跡・公園課職員:「ちょっと聞いたことがないですね」

 一夜明け、その爪痕が明らかになってきました。

 街のシンボルも高速道路も新幹線も交通網は今も混乱が続いています。

 その瞬間、報道フロアにはみしみしと不気味な音が響き渡り、机の物は次々倒れていました。

 16日午後11時36分ごろ、宮城県と福島県で震度6強を観測した地震。

 調味料も電子レンジも落ち、冷蔵庫の扉も開いています。

 気象庁によりますと、震源は福島県沖で震源の深さは57キロ、地震の規模を示すマグニチュードは7.4と推定されます。

 夜が明け、被害の全貌が明らかになってきました。

 福島県相馬市の家、室内は物が散乱し、天井の生々しいひびが揺れの強さを物語っています。

 住民:「揺れが最初どーんときた。そこから横揺れがきた。ガガガガガガと続いて。たんすね、これ1人で片付けるの大変でしょう」

 こちらの女性も家から飛び出し木にしがみ付きました。

 住民:「どうしていいか分からなくて、お父さんはそこにつかまった。こうして必死につかまって。それでも怖かった」

 気象庁は11年前の東日本大震災の余震域で起きたとしていますが、こんな言葉も聞かれます。

 住民:「神棚が落ちて前のより大きかった気がする。びっくりして震えた」

 仙台城跡では石垣が崩れ、街のシンボルともいえる伊達政宗公の騎馬像が傾いていました。東日本大震災でも傾くことはなかったそうです。

 公園の職員:「このような傾きは聞いたことがない」

 自宅の2階の階段から転落したとみられる60代の男性が死亡、また、宮城県登米市では70代の男性が「地震に驚き卒倒した」と心肺停止の状態で搬送され死亡が確認されました。市はショック死とみています。合わせて3人の死亡が確認され、184人のけが人が確認されています。

 ライフラインも甚大な被害が出ています。

 17日午前中、福島県と宮城県で4600軒ほどが停電しました。断水も相次ぎ、給水車には長い列ができていました。

 給水に並ぶ人:「少しは出ているんですが、この後断水って聞いたので」

 頼みの綱のコンビニ店も商品が散乱しました。午後1時時点で宮城県と福島県内のセブン-イレブンでは約20店舗が、ローソンでは10店舗が停電などにより休業しています。

 長い行列ができたのはスーパーです。停電のため、外に商品を出し売りますが、制限せざるを得ません。

 店員:「カップ麺が一家族10個。水が2本。パンが5個でお願いします」

 買いに来た人:「こうやって出してもらったから助かりますね。全部切れている。水道も電気も止まっている。石油ストーブでお湯を沸かして食べられるようなものをと思って」

 フレスコキクチ相馬店・店長:「生鮮食品の加工調理が一切できないのが歯がゆい。東日本大震災以来だと思う。可能な限り衣食住の『食』の部分を担っていきたい」

 交通網は依然、混乱が続いています。大動脈も寸断されました。

 大きくねじれた車両。東北新幹線も脱線しました。乗客75人がいましたが、けがはありませんでした。

 乗り合わせた客:「ジャンプする感じ。宙に浮いた感じですね。座ってもいられなくなって、飛ばされるような形で」

 この影響で東北新幹線は那須塩原から盛岡の間の上下で終日運転を見合わせ、運転再開の見通しは立っていません。

 関東と東北を結ぶ東北道にも大きな傷跡が残されていました。

 東北道は最大で100メートルほどのひび割れが発生しましたが、通行止めはすべて解除されました。

 医療現場も大きな被害を受けました。

 看護部長代行・渡部美智子さん:「4階から2階まで水漏れになってしまって」

 福島県南相馬市にある病院は水浸しとなっていました。60床ある病院には55人の患者が入院、その多くが寝たきりの状態です。苦渋の決断で、一般外来は来週まで休止としました。

 看護部長代行・渡部美智子さん:「(一番困っているのは)断水のめどが立たないところ。貯水のほうは貯めているが、水に限りがあるのでこの先どうなるか」

 東京電力によりますと、福島第一原発ではこの地震で5号機の使用済み燃料プールの冷却機能が一時停止しました。原因は分かっていません。冷却は17日午前4時すぎに再開したということです。

 福島県相馬市では避難所が設置され、188人の人々が不安な一夜を過ごしました。

 避難した人:「あの時思い出しておっかない。本当は今帰りたい」

 気象庁は一週間程度、余震に警戒が必要だとしています。

 気象庁:「揺れの強かった地域では地震発生から1週間程度。最大震度6強程度の地震に注意して下さい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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