ゲノム解析の傾向「9割はオミクロン」 新たな変異備え「全て解析か選択か」ひっ迫する現場 名古屋市  (22/01/17 10:28)

新型コロナの感染急拡大で、国は、従来株かオミクロン株かを調べる『ゲノム解析』について、ほぼすべての検体を検査する方針を示していましたが、週末、大きな動きがありました。多忙を極める名古屋市の現場を取材しました。

 名古屋市衛生研究所では、年末から新型コロナの検体が増え始め、ここ数日は1日に約100個届いています。

「ここ1ヵ月は、まったく休んでいないですね。正月は全く休んでいませんし、8~10日の3連休も全部出勤しています」(名古屋市衛生研究所 柴田伸一郎 微生物部長)

 「PCR検査」では、検体からウイルスの遺伝子を見つけ出すことで、新型コロナに感染したかは確認できますが、従来株かオミクロン株かは判別できません。

 判別するには、ウイルスの遺伝子にある“すべて”の情報=ゲノムを解析して、従来株と変異した部分を比べる必要があります。

 これが「ゲノム解析」です。

3万個近くの遺伝情報をゲノム解析 ここ1カ月は「休みなし」

 「ゲノム解析」は実際、どのように行っているのでしょうか。

 「ゲノム解析」を自動で行ってくれる装置に、30時間近くかけて膨大な数の遺伝情報を解析します。

 遺伝情報は色分けされて、モニター上に映し出されます。

「新型コロナウイルスは遺伝子の全配列が、2万9000個ほどになります」(名古屋市衛生研究所 柴田伸一郎 微生物部長)

 3万個近くある遺伝情報、そのなかで色が抜けているのが従来株から変異している部分です。

「出てきたデータを過去のデルタ株やアルファ株と比較して、オミクロン株だと抜けちゃっているんですね」(名古屋市衛生研究所 柴田伸一郎 微生物部長)

コンピューターで解析+人の目で確認=結果出るまで3日間

 ただ、この解析作業、機械任せにはできず人による“確認”も必要です。

「コンピュータなので、機械的に並べていくんですね。明らかにおかしいなというところがたまにあるんです。変な解析をされてしまうことがあるので、そういったところは人間が見る必要があります」(名古屋市衛生研究所 柴田伸一郎 微生物部長)

 機械が解析できる数は、1日に30個ほどが限界で、解析を終わるまでに「30時間ほど」。

 これに、解析結果を確認するなど、人が行う作業で「2日程度」かかるため、最終的に、「3日ほど」の日数が必要です。

 この間に、1日100個近くの検体が運ばれるのです。

「『人員を増やしてください』とは、ずっと要望しているんですが、『必要ない』という判断を多分上層部はされていて、人が増えていない…」(名古屋市衛生研究所 柴田伸一郎 微生物部長)

 オミクロン株については、国は自治体に対して、ゲノム解析を“最大限”行うよう、通知を出したということです。

「今後どんな変化をするか分からないという心配があるので、それは全ゲノム解析をすれば変異が分かりますよね、なので全部読んでほしいということになっているのだと思います」(名古屋市衛生研究所 柴田伸一郎 微生物部長)

「9割はオミクロン株」 さらなる変異株出現に備えどこまで調べるか

 休みなく続く「ゲノム解析」によって、新型コロナの最近の傾向が分かってきました。

「今回のオミクロンのような感染力が強くて、なおかつワクチンを2回打っていてもブレイクスルー感染するものが生き残ったと考えられます。オミクロンが増えている状況なので、9割ぐらい置き換わっています。ただ、オミクロン一色には、まだなっていないです」(名古屋市衛生研究所 柴田伸一郎 微生物部長)

 残り1割がデルタ株で、オミクロン株よりも重症化リスクが高いとされているため、警戒が必要だといいます。

 この取材の終わった後、新たな展開がありました。

 14日、国から「すべてを解析する必要はない」という内容の通知が届いたといいます。

 しかし、今後どのように検査を続けていくか、名古屋市は調整中です。

「一部で報道されている『デルタクロン』といったような、変わり種が出てくる可能性があるんですね。ランダムに入ってきた検体の30%を解析するとか、もしくは症状がちょっと変わった人を解析するのか、ある程度選択をしていかなければいけないと思うんです」(名古屋市衛生研究所 柴田伸一郎 微生物部長)

(1月17日 午前6:00~放送 メ~テレ『ドデスカ!』イマネタ!コーナーより)

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