【解説】効果は?ロシア制裁切り札  “SWIFT”からの排除  日本にも影響?

ロシアがウクライナに侵攻し、民間人への被害も拡大する中、アメリカ、EU(=ヨーロッパ連合)、イギリスなどは「SWIFT」からロシアの特定の銀行を排除すると発表しました。なぜこれが経済制裁の“切り札”と言われるのか、日本経済への影響などについて詳しく解説します。

■ウクライナ・ロシア“前提条件なし”会談…停戦に向け進展は

ロシアがウクライナに侵攻し、戦闘が激しさを増す中、28日、動きがありました。

ウクライナ政府はロシア側と『前提条件なしで会談』することで合意したと発表しました。

『前提条件なし』」というのがポイントで、以前から会談の話はありましたが、ロシア側は「ウクライナ側が初めに武器を置く必要がある」という条件を付けていました。つまり、「ウクライナが先に武装を解除しろ」という意味で、これは当然、ウクライナ側が拒否しましたが、今回は「前提条件なし」ということで会談に合意したということです。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「結果が出ると思わないがやってみよう」と述べています。

場所は、ウクライナ、ロシア双方と接している国、ベラルーシの国境地帯で、ロシアメディアなどによると、時間は現地時間28日午前中、日本時間28日午後6時から行われるということです。

ロシアの代表団は先にベラルーシ入りしていて、28日午前、ウクライナの代表団もベラルーシに到着したと、ロシアメディアが伝えました。

停戦に向けた進展があるのかが焦点になります。

■民間人への被害拡大…EU“史上初”「武器など購入・運搬の資金提供」決定
ウクライナへの侵攻で民間人への被害も拡大しています。

ウクライナ第二の都市・ハリコフでは、路上で燃える車を前に「人がいるんです。お願いします。私たちを救ってください。ここには子供たちがいます」との市民の悲痛な声が聞かれました。

ウクライナの保健省は27日、これまでの民間人への被害について、子供14人を含む352人が死亡、1684人がけがをしたと発表しました。

こうした中、ウクライナへの国際社会の支援は広がっていて、EUは27日、「史上初めて、攻撃を受けている国への武器や装備などの購入・運搬の資金を提供」することを決定しました。

■「SWIFT」からロシアの特定銀行排除…なぜ“切り札”なのか

一方、国際社会のロシアへの制裁は強化されています。

アメリカ、EU、イギリスなどは、経済制裁の“切り札”とも言われる「SWIFT」からロシアの特定の銀行を排除することを発表しました。共同声明では「ロシアの責任を追及し、この戦争がプーチン大統領にとって戦略的失敗となるよう一丸となって取り組む」とした上で、「さらなる措置をとる用意がある」と付け加えています。

SWIFTからロシアの特定の銀行を排除することが、なぜ経済制裁の切り札なのでしょうか。

SWIFTは「国際銀行間通信協会」のことです。世界各国の金融機関同士の取引に必要な情報のネットワークを運営する機関で、ベルギーに本部があります。200を超える国と地域の1万1000以上の金融機関が参加していて、国際的なお金のやりとりに欠かせない組織です。ドル建てで決済されているので、SWIFTはアメリカの影響力が大きいとされています。

このSWIFTから排除されると、ロシアは貿易などの国をまたいだ決済や送金が難しくなります。また、ロシアの通貨、ルーブルを簡単にドルに替えられなくなるので、価値が下がり暴落することにもつながりかねないです。

これにより、欧米各国はロシア経済に打撃を与えるのが狙いです。日本も27日夜、この制裁に加わると表明しました。

ロシアの貿易は相当に制限されることになり、資源や食料の輸出が滞ります。実際、今回の経済制裁の影響を受け、外国為替市場の28日の取引では、ルーブルは1ドル=105ルーブルまで値下がりして、史上最安値を更新しました。

このように、ロシア経済には大きなダメージが出始めています。これが、ロシア国民のプーチン政権への反発につながるか、どうかが焦点です。

■制裁の“ブーメラン”燃料価格上昇に拍車か…

一方、ロシアへの経済制裁強化は、世界、日本の生活にも影響が広がる恐れをはらんでいます。

野村総研エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は「ロシア経済にダメージを与えて、ウクライナへの侵攻をやめさせる狙いだが 、簡単には止まらない。ブーメラン効果で、世界や日本経済にもはね返る」と話しています。

ロシアから多くの石油や天然ガスなどのエネルギーを輸入しているヨーロッパでは、決済ができないことで供給が滞る可能性があります。さらに、今後ロシアが対抗措置としてヨーロッパ向けのパイプラインで石油や天然ガスを供給しなくなると、このところの価格上昇に拍車がかかる可能性もあります。

野村証券の担当者によりますと、原油価格の指標となる「北海ブレント原油」の先物価格は先週末の終値97.93ドルでしたが、週明けの28日朝には105.07ドルまで上昇しました。

■日本にも影響…カニや木材などの輸入に支障?

日本経済への影響について、ガソリン価格や、電気・ガス料金もますます上がっていく可能性があります。

さらに供給不足の恐れは燃料だけではなく、ロシアが世界1位の輸出国である小麦など食料も同様です。世界での供給が減れば、結果として身近な食品の価格もまた高騰することが心配されます。

他にも、心配な品目があります。帝国データバンクの担当者によると、カニなどの水産物や木材の輸入に支障が出ることが懸念されるといいます。

特に木材は、コロナ禍での不足が価格高騰を招き、「ウッドショック」と呼ばれる状況です。そこに日本が木材を多く輸入しているロシアからの調達が断たれると、価格の上昇や供給の混乱がいっそう厳しくなるという見立てです。

その結果、例えば、住宅建築費用に直結することも考えられます。

    ◇

強い制裁はロシアの暴挙を止めるための手段ではありますが、それが長引き、対象が拡大するほどに私たちの生活への影響は大きくなっていきます。私たちにも認識と覚悟が必要です。
(2022年2月28日午後4時半ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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