「プーチンは間違った」呼び捨てで批判 バイデン大統領“異例”の一般教書演説(2022年3月2日)

ウクライナ情勢が緊迫するなか、アメリカのバイデン大統領が一般教書演説を行いました。

政権のメッセージを象徴するといわれるゲストに招かれたのは、ウクライナの駐米大使、オクサナ・マルカロワ氏。本来、国内の政策がメインとなる一般教書演説ですが、ウクライナ情勢とロシアのプーチン大統領への非難から始まります。

バイデン大統領:「6日前、プーチンは自由社会の根幹を揺るがそうとした。脅迫で自由を屈服させられると考えたのだろう。しかし、それは大誤算だった。予想に反して、ウクライナ国民という力強い壁にぶち当たった。アメリカはウクライナの人々と共にある。独裁者を罰しないと混乱を広げると、我々は歴史から学んできた」

そして「プーチンは間違った」と言い切り、批判を展開します。

バイデン大統領:「プーチンは暴力や混沌(こんとん)を解き放った。たとえ戦いに勝利したとしても、高い代償を延々と払い続けるだろう。プーチンは間違った。我々は万全を期している。そして団結している。我々は嘘をつくロシアに真実で立ち向かったのだ。27のEU加盟国やイギリス、日本、スイスなど多くの国とともに。ロシアに容赦ない制裁を科し、ウクライナの人々を支えていく。プーチンは今、かつてないほど孤立している」

何度もプーチン大統領を呼び捨てに。新たにアメリカの領空へのロシア機の乗り入れを禁止するなど、経済制裁をさらに厳しくすることを明らかにしました。一方で、こうも強調しました。

バイデン大統領:「はっきりさせておくが、ウクライナに軍を送るつもりはない」

そのうえで、NATO(北大西洋条約機構)の一員として、加盟国の領土を守り抜くとし、加盟国が一国でも攻撃を受けた場合は全勢力をもって反撃に出るとしました。

バイデン大統領:「民主主義と専制主義の戦いで、今、世界は明らかに平和と安全を選ぼうとしている。プーチンが起こした戦争はロシアを弱くし、世界を強くしたと歴史に残るだろう。ウクライナ国民から自由を奪うことは決してできない」

◆布施哲ワシントン支局長に聞きます。

(Q.一般教書演説は通常、内政問題が中心になりますが、今回はウクライナ問題に冒頭から10分以上も割きました。戦争の当事国ではないアメリカがこうした演説を行うのは異例ではないかと思いますが、いかがですか)

今回、ホワイトハウスはすでにできあがっていた原稿を急きょ書き換えています。そのうえで、ウクライナ問題を演説の頭にもってきて、23ページある原稿のうち、5ページを配分する異例の対応を取っています。

プーチン大統領を呼び捨てにして強く批判していて、プーチン大統領の責任を明確にする狙いと執念を強くうかがわせる内容でした。

(Q.ロシアの侵攻に対してどう対処するかという内容はありましたか)

改めて、ウクライナの支援のためにアメリカ軍を送ることはないと言っています。その代わり、ロシア軍が今後、ウクライナを制圧して西に拡大してきた場合「我々は戦うことになるかもしれない」という言い方をしています。今後の戦闘の推移について、国防総省も「確かにウクライナ軍はがんばっているが、ロシア軍は最終的にウクライナを制圧するだろう」とみています。

これらを総合すると、今回の演説は、近い将来、ポーランドの国境を挟んでロシア軍とアメリカ軍が対峙する可能性に対する強い危機感がうかがえる内容でした。

(Q.一般教書演説は、アメリカ国内でどう受け止められていますか)

全体としてはポジティブに受け止められています。CNNの調査でも6割以上の人が前向きに評価しています。ただその一方で、なぜ専制主義と対決するのかについて、具体的な説明がなかったという批判が聞かれました。

国内では、インフレ・物価高に対する不満が非常に渦巻いています。ロシアに対する制裁をきっかけに、ガソリン価格が上がることも確実視されています。インフレという課題に対応してもらいたいという声があるなかで、なぜ専制主義と対決していくのか。その意味合いはどこにあるのか。そしてなによりも、国内の課題とのバランスをどうやってとっていくのか。バイデン大統領には、こうした問いに対する答えが求められています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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