「ロシアの戦車を止めようと」道路にひざまずく男性(2022年2月27日)

激しい戦闘は4日目を迎えています。停戦交渉を拒否されたと侵攻を続けるロシアに、各地で徹底抗戦するウクライナ。今、最前線で何が起きているのでしょうか。

▽「戦車を止めようと」1人立ちはだかる
(CNN 実況リポート)
「これはロシア軍が直面している、非常に激しい抵抗の様子です。キエフ北東100マイルのところで、1人の男性がロシアの戦車を止めようとしています。戦車を止めようとその前でひざまずいています。」
さらに別の男性が戦車の前に立ちはだかりますが、戦車はかまわず前へと進みます。戦車はこのあと、首都キエフに向かったといいます。さらに・・・

▽「空が真っ赤に」石油タンク爆発か
(CNN アレックス・マークォート記者)
「これは明らかでしょう。首都キエフの私がいる場所で聞こえたのは2つの大きな攻撃音です。」
攻撃を受けたのはキエフの国際空港近くの軍事施設。石油タンクが爆発したとみられています。ロシアがウクライナに侵攻してから今日で4日目、現在も首都キエフを中心に激しい戦闘が続いており、これまでにウクライナでは子ども3人を含む、198人が死亡したといいます。

▽遠のく「停戦交渉」ロシア軍の侵攻続く
一方、両国による停戦交渉に向けた調整も続いていましたが・・・
(ロシア大統領府 ぺスコフ報道官)
「ウクライナ側が交渉を拒否したことによって、今日の昼、軍事作戦計画に従って、ロシア軍の前進は再開された。」
これに対し、ウクライナのゼレンスキ―大統領は・・・
(ウクライナ ゼレンスキ―大統領)
「会談の場にベラルーシの首都ミンスクが挙がっているが、ウクライナが提案したものではない。我々は話し合いたい。戦争を終わらせたい。ミサイルを飛ばさない国であれば(会場の場は)どこでもいい」

▽“第2の都市“ハリコフで激しい攻防
(CNN フレデリック・ブライトゲン記者)
「後ろのほうに見えるのが、主要戦闘地ハリコフまでの道中にあるロシアの最後の検問所です。数十台の車両が大規模な車列をなしてやってきました、重装備の戦車も10台ほどが通り過ぎています。」
大量の戦車が向かったのはウクライナ第2の都市ハリコフ。
AP通信は映像の真偽は確認できていないとしていますが、ウクライナ大統領府は「ロシア軍がハリコフのガスパイプラインを爆発した」と発表しました。この爆発によるけが人の情報などはわかっていません。ハリコフでは現在も激しい戦闘が続いているとみられています。

▽病院に“クラスター爆弾”か 民間人4人死亡
こちらはロシアの国営テレビが放送した映像。ロシア軍の戦車が仮設の橋を渡り、進軍していく様子が映し出されています。
場所は親ロシア派が実効支配する東部ルガンスク州。戦車に刻まれた「Z」の文字はロシア軍だと識別するためのものだといいます。
(記者)ついにこの時がきましたね?
(兵士)もちろんだよ。待ちに待っていたから涙が出るよ
ドネツク州でも戦闘が激化しています。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は病院にミサイルが着弾して民間人4人が死亡。医療関係者など10人が負傷したと発表しました。さらに、攻撃直後に撮影された複数の写真や病院関係者の証言などから、クラスター爆弾が使用された可能性があるとしていて、「ロシア軍は無差別殺傷兵器による違法な攻撃をやめるべきだ」と強く非難しています。

(ウクライナ ゼレンスキー大統領)
「きょうの演説はいいニュースから始めたい。我々は耐えた。敵の攻撃もよく反撃し続けている。敵軍が我々より優勢になることは一切なかった。」
CNNによると、アメリカの政府高官は「ロシア軍はウクライナ軍の激しい抵抗にあい、補給面などで、困難な状況に陥っている」と述べています。
アメリカの情報機関などが、大規模侵攻が起きた場合「2日以内に陥落」と分析していた首都キエフ。侵攻4日目のきょうまで持ちこたえているのはなぜなのでしょうか?

▽ジャーナリストが見た“戦時下”の首都キエフ
ロシア軍が首都キエフに迫ったのは侵攻2日目の25日。
(ゼレンスキー大統領)
「今夜はより厳しいものになる。ウクライナの運命はここで決まる」
(香港出身のジャーナリスト カオル・クレさん)
「ただいま地面ではロシア軍の爆撃を受けているという情報が入っていますが、ここ地下ではあまり振動を感じられていません」
現在もキエフ市内で取材を続ける香港出身のジャーナリスト、カオルさん。25日の夕方、警報が鳴り響く中、避難しようと、人々が殺到する駅の様子を捉えていました。
(香港出身のジャーナリスト カオル・クレさん)
「やっぱりみんな怖がっていますね。大体ここを去る人は余儀なく、一時退避みたいに捉えている方が多いんですけど、彼らが戻って来られるかは戦況次第」

深夜のキエフ市内に響き渡る爆発音
(香港出身のジャーナリスト カオル・クレさん)
「きのうの夜(26日早朝)が一番すごかったです。爆音などが続いていて、それが午前6時になった時くらいにピークで、継続的に発砲や爆弾音が聞こえていました」

▽「首都陥落」の危機 住民語る“戦争の街”
警報が鳴るたびに、住民はこうして住宅の地下に避難します。ここは、第一次世界大戦の頃からある防空壕です。
(キエフ在住 パルホメンコ・ボグダンさん)
「一応充電コンセントもあるので携帯充電できそうです。食料とか水があります」
幼少期を日本で過ごしたパルホメンコ・ボグダンさん(35)。母親や弟などとこうして朝までやり過ごしています。
(キエフ在住 パルホメンコ・ボグダンさん)
「朝までは防空壕の方の椅子に座って待機しています。朝日を迎えると大体落ち着くので、そのタイミングで家に戻って仮眠をとっている」
日付が変わっても一向に鳴りやまない銃声。そして、夜が明けると・・・
キエフ市内の高層住宅にミサイルが直撃しました。
(CNNクラリッサ・ワード記者)
「ある種の発射体がけさ8時15分頃にこのアパートに衝突したと我々は聞いています」
「ウクライナ当局は『ロシアのミサイルの仕業だ』と言っていますが、ロシア側は、風が強く、ここは多くのがれきが舞っているので。ロシア側は『ウクライナのミサイル防衛システムが失敗し、アパートにぶつかってしまった』と言っている』
この高層住宅で死者は出ていませんが、ウクライナ保健省は26日、侵攻後、これまでに子ども3人を含む198人が死亡したと発表しています。

(ボグダンさん)
「おはようございます。いま朝の10時、明け方まで防空壕で寝られなかったんですけども、静かな状況になったので少し寝られました。ワンちゃんの散歩を今しています」
驚くほど静かな首都キエフ。このタイミングで食料品の買い出しにスーパーへ

(ボグダンさん)
「まだまだ食べ物はあります。パンを買うためにみんな並んでいます。小麦粉とか塩とかは少なくなっていますね。食べ物が買えました。」
体が弱く、買い物に行くことが難しい祖母のところに無事届けることができました。
(ボグダンさん)
「すべての食料があるわけではなかったですけど、必要最低限のものはありました。ですので、特別みんなが困っている訳では現状ありません。ちゃんとそこの配慮は政府がしてくれています。非常にありがたいです。非常にいま支持率が高いです。たぶんゼレンスキー大統領以外で今の立場にいれる人はいないと思います。(私の周りでは)誰もほとんど逃げていません。」

ゼレンスキー大統領は首都キエフに留まり、1日に数回、国民にメッセージを発し続けています。
(ゼレンスキー大統領)
「ここは私たちの領土であり、国家であり、子どもたちがいるということです。私たちはそれらすべてを守ります」
隣国のポーランドには国境を越えてウクライナに戻る人たちの姿がありました。
(ポーランドからウクライナに戻る人)
「戦争に行きます。戦争に行きます。家族がいるので戦争に行きます」
こうした中、武器や弾薬をウクライナに送る動きが広がっています。
ドイツのショルツ首相は26日、ウクライナに対し対戦車砲1000門や携帯式地対空ミサイル500門を提供すると発表。
フランスやオランダも武器提供を表明し、アメリカも3億5000万ドル分の武器供与を決定しています。

(欧州「EU」委員長 フォンデアライエン氏)
「EUとパートナーは、プーチン大統領の資金調達能力を麻痺させるために取り組んでいる」
EU=ヨーロッパ連合とアメリカなど6カ国は、国際的な金融決済システム「SWIFT」からロシアの一部の銀行を排除するとの共同声明を発表。
「SWIFT(国際銀行間通信協会)」は国際的な送金や決済を円滑に行う仕組みで、対象となる銀行が締め出されれば、ロシア経済に大きな打撃となります。
ヨーロッパ各地はライトアップでウクライナへの連帯を示しています。
イギリスのジョンソン首相はロシア国民に訴えました。
(イギリス ジョンソン首相)
「(ロシア語)ロシアの方々が望む戦争ではないと信じています。」
さらにウクライナ語でも・・・
「(ウクライナ語)世界は自由で主権のあるウクライナを必要としています。ウクライナに栄光あれ」

アメリカのバイデン大統領は26日、出演したYouTubeの番組で「選択肢は2つ。第3次世界大戦でロシアと戦争するか、国際法に反する行動を起こした国に代償を払わせるかだ」と発言しています。

2月27日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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