久々の国歌シリーズです。今回はウクライナ=ソヴィエト社会主義共和国国歌。文字通り、ウクライナ=ソヴィエト社会主義共和国時代の国歌です。作られたのは1949年ということで、同年から1992年まで同国の国歌の地位にありました。1949年以前のウクライナSSR(というかソ連構成国)に国歌はなかったようです。ソ連国歌はスターリン死後のスターリン批判を受けて70年代に歌詞からスターリンの名が削られましたが、ウクライナSSR国歌でも同様に1978年に歌詞が書き直され、スターリンの名が現れる2番の歌詞が修正されたほか、繰り返し部分やそのほかの部分もなぜか微妙に変えられました。なんでや!スターリン関係ないやろ!
歌詞について
・繰り返し部分で「ソヴィエトの国ウクライナよ永遠なれ」と訳している部分ですが、原文の живи は「生きろ」という意味。英語の Long live ~ や仏語 Vive ~ などのように通常「万歳」と訳される(1番の歌い出しに現れる живи は「万歳」と訳しています)文句ですが、ここでは後ろに в єдиній родині народів-братів(in united family of fraternal people/兄弟たる人民のひとつの家族の中で) と続きます。Живи は live の意味なのでウクライナ語では問題ないのですが、日本語で「家族の中で万歳」と訳すと不自然になり、かといって「生きろ」と直訳するのもアレなので、「永遠なれ」と意訳しています。これくらいは許されるはず。
・日本語訳で「ソヴィエト」となっているにもかかわらずウクライナ語原詞やルビには совет/ソヴィエト の語は出てきません。これはロシア語 совет が「評議会」を表す普通名詞で本来は固有名詞ではなく(他のソ連構成国ではそのまま借用して固有名詞として使っていますが)、ウクライナではсоветに相当する рада(ラーダ) という単語を使っているためです。ロシア語で Советский Союз というので日本や諸外国ではソヴィエト連邦や Soviet Union などと言うわけですが、ウクライナ語では Радянський Союз といいます。日本語にするならラーダ連邦といったところでしょうか。ですが、それでは伝わらないので訳では「ソヴィエト」という語を使っています。
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