研究会「ウクライナ」④ 畔蒜泰助 東京財団研究員 2014.6.5

Taisuke Abiru, Research Fellow, Project Manager, The Tokyo Foundation
東京財団の畔蒜泰助研究員が、ウクライナ危機の構造について解説した。ヤヌコビッチ政権崩壊、クリミアの独立・ロシア編入、ウクライナ東部の軍事衝突の関連を整理し、ポロシェンコ政権が東部危機を早急に収束させないと、ユーゴ分裂のような事態になる、との見方を示した。
司会 脇祐三 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)
日本記者クラブのページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2014/06/r00027378/

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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2014年7月号に掲載)

「ユーゴ化」の危機待ち受けるウクライナ

混迷続くウクライナ危機。畔蒜氏によれば、その構造は、ユーロマイダン、クリミア、ウクライナ東部―3つのクライシスの連鎖によって成り立っており、危機は拡大の一途をたどっている。

直接的な近因は、昨年夏から秋―ヤヌコビッチ政権がEU(連合協定)とロシア(関税同盟&ユーラシア連合)を両天秤に掛けたことにある。そして、ウクライナ・ナショナリストを含む「違法な政権」の誕生はクリミア危機とウクライナ東部危機を引き起こした。

2月末から3月―ロシアがソチ五輪の熱気冷めやらぬ黒海沿岸に特殊部隊を展開、プーチン大統領が歴史カードを切って対外戦略の要衝クリミアを編入した。ロシア・ナショナリズムに火がついた。

いまやウクライナ東部は、ナチス・ドイツ、ポーランド人、ユダヤ人との歴史的因縁を内包する2つのナショナリズムが衝突する場と化した。その行く末にはウクライナの「ユーゴ化」すなわち分裂の危機が待ち受けている。

「力による現状変更」の危機はアジアにも波及する可能性をはらんでいる。鳥の目・虫の目でユーラシアをウオッチしているこの専門家に、あらためてじっくり聞いてみたい。

時事通信解説委員・「外交」編集長
鈴木 美勝

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