オミクロン株中心の第6波も「ようやくピークを越えた」とみられます。そして、これから増える可能性のある後遺症に「ワクチンが有効だ」という研究が出てきました。詳しく解説します。
■専門家会議「感染者数はピークを越えた」
16日、全国で確認された新型コロナウイルス感染者は、9万904人となりました。感染者数は、今月5日の10万5625人をピークに、全国的にも徐々に減少しているように見えます。
この感染状況をどう見たらいいのか?16日、厚生労働省の専門家会議は「感染者数はピークを越えた」との分析結果を示しました。
厚労省アドバイザリーボード 脇田隆字座長
「我々としても、全国の感染者数のピークを越えたと考えています。だいたい2月の上旬にピークを越えたと考えています。感染者数のピークが来て、それに遅れて重症者も死亡者もピークがくる。感染者数をしっかり下げていくことが、重症者・死亡者数を減らすために重要になってくる」
■“重症者・死者の割合少ない”オミクロン株 死者数を試算
死者数については、去年の第4波のピークを上回る水準で急激に増加しています。15日に全国で亡くなった人は、過去最多の236人となり、16日も230人が確認されました。
感染者についても、高齢者、特に80代以上ではまだゆっくりと増加していることから、今後も高齢者の入院や死亡者が続くことが懸念されています。
こうしたことから、専門家会議のメンバーで京都大学の西浦博教授が、オミクロン株が中心となっている第6波の死者数を試算しました。この試算によると、「今後、4月までの合計の死者数は4000人を上回る」という予測となりました。
このうち、約3000人が80歳以上の高齢者です。これはデルタ株が中心だった去年の第5波の約3000人を上回り、「このまま拡大が続けば、その前の第4波の約6000人に迫るリスクがある」ということです。
オミクロン株は、「重症者・死者の割合は少ない」と言われますが、感染者数が圧倒的に多いので、死者数が増えてくる予測となっています。ただし、この予測は「ワクチンの接種率は加味していない」ということです。
西浦教授は「『3回目接種』と『施設の感染対策』をすることで死者を一部減らすことは可能で、高齢者の3回目接種を実施すればするほど、接種した人が助かることにつながると思う」としています。
■感染ピーク越えても「後遺症」増加の可能性も
そして、感染のピークを越えても、これから増えてくる可能性があるのが後遺症です。
東京都には「コロナ後遺症相談窓口」があり、都のチームでは去年3月から10月までに相談があった3800人あまりのデータを詳しく分析しています。あくまでも、オミクロン株ではなく、デルタ株が流行していた時期を中心としたデータです。
コロナに感染した後、何らかの後遺症を訴えて相談した人の割合は、男性が47%、女性が52%と、女性がやや多い結果になりました。
年代別では、10代から70代以上の幅広い年代が相談しています。高齢者はやや少ない印象ですが、各年代に後遺症に悩んでいる人がいることがわかります。
相談した人たちの中で、最も多かった症状は嗅覚障害(30.4%)でした。続いて、けん怠感(26%)、味覚障害(23.3%)です。また、脱毛(9.4%)に悩んでいるという人もいました。
症状は非常に様々で、複数の症状を訴える人も60%を超えています。その中には、記憶力の低下・集中力の低下・不眠などを訴える人もいます。
■後遺症出た後でも「ワクチン接種で軽減」驚きの結果 英・保健当局
こうした中、イギリスの保健当局は「ワクチンが後遺症にも効果がある」とする新たな調査結果を発表しました。
イギリスでは人口の約2%が、4週間以上続く後遺症、中でも「疲労」「息切れ」「筋肉や関節の痛み」などを訴えています。
調査結果によると、「ワクチンを1回だけ接種した人や、一度も接種していない人たちよりも、2回接種した人などの方が、感染しても後遺症になる割合が半分ほどになった」といいます。
また、コロナ感染がわかった後にワクチンを打ったとしても、「時間がたってから接種するよりも、なるべく早く接種した人の方が、後遺症を訴える人が少なかった」といいます。
さらに、後遺症の症状が出てしまった後でも、「ワクチンを打てば効果がある」という驚きの結果も出ました。
後遺症が出た後に「接種しなかった人よりも、ワクチンを接種した人の方が症状を訴え続ける人が少なくなって、症状自体も改善する人が多かった」といいます。
英保健当局のワクチン責任者は「接種による新たなメリットが追加された。ワクチンは後遺症の軽減に役立つだろう」と話しています。
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西浦教授も「3回目の接種が進むことで、死者が減らせる」と指摘し、「ワクチンは後遺症に効果がある」というデータも出てきています。もちろん、個人の判断を尊重しながらということではありますが、希望する人への3回目接種をさらに加速していく必要があると思います。
(2022年2月17日午後4時半ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)
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