「相互非難から対話へ」 ソ連崩壊30年 ゴルバチョフ氏に聞く現代の処方箋

 ソ連崩壊から25日で30年を迎えるのを前にゴルバチョフ元大統領がJNNの書面インタビューに応じ、「過去から学べるロシアの未来は1つ」と強調しました。

ソ連 ゴルバチョフ書記長(当時)
 「我々は時代の挑戦に立ち向かう」

 冷戦終結の立役者ミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領。90歳の今、新型コロナの感染予防のため医療施設で隔離生活を送る中、JNNはメディア1社と合同で書面インタビューを行いました。

記者
 「こちらがインタビューの回答です。全部で4枚。1枚目にはゴルバチョフ氏直筆のサインが記してあります」

 ウクライナ国境周辺にロシア軍が集結し軍事衝突への懸念が高まるなど、欧米との対立激化にゴルバチョフ氏は警鐘を鳴らします。

ゴルバチョフ元大統領
 「世界の主要な大国間で、ほとんど制御不能な軍事的・政治的対立に直面しています。これまで作られてきた枠組みは、ほとんど壊れています。このままでは大惨事になりかねません」

 信頼関係は崩壊しているものの「致命的だとは思わない」として、こう訴えました。

ゴルバチョフ元大統領
 「互いに非難したり、挑発したり、軍備を拡大することから、責任ある対話への移行が一刻も早く行われるよう、できることは何でもすべきです」

 そのうえで、「欧米はすべての責任をロシアに負わせようとし、ロシアの方から歩み寄ることだけを待っている」と指摘。「ロシアを孤立させるべきではない」と述べています。

 かつてゴルバチョフ氏が受賞したノーベル平和賞。今年、選ばれたのはロシアの独立系新聞のムラトフ編集長です。ゴルバチョフ氏は創刊時に支援するなど30年以上の仲だといいます。

ゴルバチョフ元大統領
 「彼は真実と正義の信奉者で、本物のファイターです」

 プーチン政権は「強いロシア」の復活を掲げ、国民の愛国心を駆り立ててきましたが、政権への異論は許さず、独立系メディアへの圧力を強化、反体制派を徹底的に弾圧してきました。ゴルバチョフ氏は自らが進めた政治改革に言及しながら、こう指摘します。

ゴルバチョフ元大統領
 「ペレストロイカの目的は、国民を解放し自らの運命と自らの国の『主役』に据えることでした。しかし、現在においても定期的な政権交代や、国民が政府の決定プロセスに関わることができる体制づくりは整っていません」

 ソ連崩壊から30年、ロシアの民主主義は、いまだ道半ばだというのです。

ゴルバチョフ元大統領
 「我々の国民は、過去から何を拒否すべきか何を受け入れることができるかを学ぶ必要があります。時間はかかります。しかし、ロシアの未来は1つしかありません。それは民主主義です」

 ゴルバチョフ氏の「未来は1つ、民主主義だ」という言葉は、ソ連回帰ともいわれるプーチン政権へのメッセージともいえそうです。
(23日18:18)

powered by Auto Youtube Summarize

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事