うつ病と適応障害の見分け方について、解説します【精神科医・益田裕介/早稲田メンタルクリニック】

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結論から言うと、軽いうつ状態の場合、見分けることは困難です。

 

【目次】

#診断基準はどうなっている?

#臨床的にはどう判断している?

#研究分野ではどう判断している?

#結論

 

 

#診断基準としてどういう変遷を辿ったのか?

 

・古典的にはヤスパースという人(もともと精神科医で、実存主義の哲学者になった人)が「了解可能」という基準で、区別しようと考えました。

 うつ病の人は「罪業妄想」「貧困妄想」「心気妄想」などの、こちらから共感できないような、おかしな考えを抱きます。

 一方、適応障害の人は「そりゃ、こんなひどいパワハラを受けていたら鬱になるよな」という共感できる悩みを持っていることが多いです。

 この共感できるかどうか、というのを「了解」という言葉で定義し、それで線引きしようと考えました(ひどく簡略化すると)。

 

 しかし、それでは説明できない事象が増えてきました。

 社会的にうつ病という病気が認知され、脳科学の理解が普及した結果、おかしな妄想を抱く人が減ったのです。

 

 そこで操作的診断という考えが生まれました。現在では、操作的診断に基づき、うつ病と適応障害を区別しています。

 

A: 以下の症状のうち5つ (またはそれ以上) が同一の2週間に存在し、病前の機能からの変化を起している; これらの症状のうち少なくとも1つは、1 抑うつ気分または 2 興味または喜びの喪失である。 注: 明らかに身体疾患による症状は含まない。

1. その人自身の明言 (例えば、悲しみまたは、空虚感を感じる) か、他者の観察 (例えば、涙を流しているように見える) によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。注: 小児や青年ではいらいらした気分もありうる。

2. ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退 (その人の言明、または観察によって示される)。

3. 食事療法中ではない著しい体重減少、あるいは体重増加 (例えば、1ヶ月に5%以上の体重変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。 (注: 小児の場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ)

4. ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。

5. ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止 (ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではなく、他者によって観察可能なもの)。

6. ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。

7. 無価値観、または過剰あるいは不適切な罪責感 (妄想的であることもある) がほとんど毎日存在(単に自分をとがめる気持ちや、病気になったことに対する罪の意識ではない)。

8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日存在 (その人自身の言明、あるいは他者による観察による)。

9. 死についての反復思考 (死の恐怖だけではない)、特別な計画はない反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。

B: 症状は臨床的に著しい苦痛または社会的・職業的・他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C: エピソードが物質や他の医学的状態による精神的な影響が原因とされない。

精神疾患の診断・統計のマニュアル アメリカ精神医学会 Washington,D. C.,2013(訳:日本精神神経学会)

 

 

#実際の臨床ではどう見分けているのか?

 

 では、実際にはどう区別しているのかというと、経過を見ないとわかりません。

 

 入院レベルであっても、なかなか診断がつきにくく、うつ病の古典的な理解として「原因不明の落ち込みを繰り返す病気」というものがあるので(これも厳密には定義しにくい概念で科学的には破棄されている)、繰り返すのであれば、うつ病として治療しましょうというようなところがあります。

 

 うつ病の好発年齢は中年以降なので、それらも加味します。

 

 逆に10~20代発症のうつ病は珍しく、そのほとんどが躁うつ病だったり、適応障害だったりします。ので、この年齢をうつ病と積極的に診断はしにくいです。

 またリスクも伴います。

 うつ病と診断すると、通常、抗うつ薬を処方されるのですが、抗うつ薬には「10代の自殺リスクを上げる」という副作用が明記されています。

 理由として、「実際は躁うつ病であり、抗うつ薬を処方したことで、躁鬱混合状態となり、自殺に及んでしまった」とか「自殺する元気がなかったのが、抗うつ薬によって自殺する元気がでた」など考えられます。

 

 精神科病院で勤務していると、抗うつ薬を出された若者の事故というのをよくみるので、ここらへんは慎重に考えます

 

#研究分野ではどう判断しているのか?

 画像研究なども盛んですが、やはりまだまだ実用レベルには到達していません。そもそもうつ病とはどういう病気なのか分かっていないので、臨床的なうつ病と研究的なうつ病には、ちょっと違いがあります。

 軽いうつ病とかになると、まだ研究分野としては、手を出しにくいところでしょう。(誤ったデータになる可能性があり、誰が見ても明らかなうつ病をサンプルとして研究したいから)

 

 うつ病発症にウィルスの遺伝子が関与している可能性

生理的疲労は2週間ほどの休息で回復する。唾液中のHHV6の数で測定可能

病的疲労は急速によっても回復しない。唾液中のHHV6も増えていない。うつ病や睡眠時無呼吸症候群、筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群などで認められる

 

こちらの記事も参考にしてほしいのですが、こういうことも言われています。

 

 

結論

結局、よく分からないことが多いです…。

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