【サンデーモーニング】手作り解説 “ステルスオミクロン”感染拡大の懸念?

新型コロナウイルス・オミクロン株から枝分かれした「BA.2」、通称“ステルスオミクロン”。従来株よりもさらに感染力が強いとされる中、今後、日本でも流行をもたらす可能性はあるのでしょうか?

新型コロナが中国の武漢で見つかってから2年あまり。ウイルスは武漢株に始まり、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタなど、WHOが名付けた変異株だけでも「13種類」にのぼります。この中で世界的な大流行を引き起こしてきたのが「アルファ株」、「デルタ株」、そして今の「オミクロン株」です。

そのオミクロン株ですが、元は武漢株を起源とし、ヨーロッパ株を経て、実は、去年3月にはオミクロンの親となる変異株が誕生していたとされます。そして、この株からさらに変異により枝分かれし、去年11月、南アフリカで“3つの子”が生まれました。

1つは世界で猛威を振っている「BA.1」。そして、今後増えていく可能性が指摘されているのが「BA.2」、通称「ステルスオミクロン」です。「BA.3」もありますが、今のところ目立った報告はされていません。いずれもオミクロン株ではありますが、BA.2はBA.1と変異の異なる部分が20か所以上もあり「全く別の株と見るべき」という指摘もあります。

ちなみに「ステルス」とは“気づかれにくい”という意味。というのも、BA.2に感染した人に対し、海外でPCR検査を行った場合、コロナの陽性はもちろん判るものの、オミクロン株ではないと誤判定されるケースもあることから、ステルスオミクロンと呼ばれています。

そのステルスオミクロン=BA.2が確認されているのは「56の国と地域」です。日本でも、すでに空港検疫で313例、国内で少なくとも27例報告されています。この特性についてWHOは24日、各国に対し一刻も早く調べるよう勧告。警戒を強めています。

そんなBA.2ですが、どんな特徴を持っているんでしょうか。
重症化リスクやワクチン効果について、BA.1と差はないとされていますが、北欧・デンマークの保健当局は、感染力について、「BA.1」より1.5倍強い可能性があると指摘。さらに、この国の情報から、1人の感染者が何人にうつすかを示す「実効再生産数」について、京都大学の西浦教授らのチームは、BA.1よりも18%高いと分析しています。デンマークでは、デルタ株による感染はほぼ収束していて、「BA.2」が最も多く占めています。実は今月中旬には「BA.1」を逆転しているんです。

「オミクロンBA.1」による感染拡大がピークを越えた国や地域がある一方、「ステルスオミクロン=BA.2」への置き換わりが進む、デンマーク、中東・イスラエルでは、新規感染者が再び増加に転じています。

西浦教授は、日本の感染収束の道筋についても「BA.2への置き換わりで、目論見が崩れてしまう可能性が十分にある」と指摘。置き換わりが進むことによる感染の再拡大を懸念しています。政府分科会の尾身会長は、「BA.2の状況についても監視をしていく必要がある」と警戒を呼びかけています。

きのう、全国の新規感染者数は過去最多の8万4941人。まだピークが見えない中、ステルスオミクロン=BA.2が、今後さらなる感染拡大の“引き金”となり得るのでしょうか。

(「サンデーモーニング」2022年1月30日放送より)(30日13:17)

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