"Territorial Dispute" Togo Kazuhiko, Visiting Professor, Kyoto Sangyo University
外務省で北方領土交渉などを担当、条約局長などを務めた、東郷和彦・京都産業大学客員教授が、日本記者クラブ研究会「領土問題」の2回目のゲストとして、尖閣、竹島、北方領土について話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 坂東賢治(毎日新聞)
会見詳録(会見全文文字起こし)
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/11/970e54dfaa4eae87dde640f158d969ed.pdf
東郷氏のホームページ
http://kazuhiko-togo.com/
日本記者クラブのページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2012/11/r00025001/
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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2012年12月号に掲載)
領土問題 指導者の認識で事態変化も
長年、北方領土問題に取り組んできた東郷氏。最近は尖閣、竹島問題にも積極的に発言しているが、この日、最も関心を集めたのは尖閣問題に関する2つの提言だった。
1つは日本は前提条件なしで中国と対話すべきだということ。これは中国の主張を認めるのではなく、相手の話をまずじっくり聞こうということで、日本側はこの中で領土問題は存在しないと主張できるとしている。もう1つは中国は領海に船を入れないことを保障すること。この2つを同時に実現できればこれ以上の悪化は食い止められるのではないかという考えだ。
提言の背景には、かつてソ連のシェワルナゼ外相が「領土問題は存在しないというソ連の立場は変わらないが、日本の主張にも耳を傾ける用意がある」という姿勢を示した体験がある。東郷氏は状況は戦争が起きかねないほど危険で、政府はある段階で領土問題はないという言い方をやめるべきだとして、中国とある種の妥協をするよう求めた。
また問題の背景にある歴史問題の重要性も強調した。東郷氏は、日本側から未来志向の関係を作ろうと呼びかけるのは韓国にとっては「過去を忘れよう」ということに等しい。韓国側がそう言うのなら良いが、日本人はそういうことを言うべきではないという考えを示した。また今後は慰安婦の問題が深刻になるだろうと指摘した。
一方、北方領土問題については、プーチン大統領の復帰で希有の歴史的な機会が開かれているという認識を示し、ロシアが交渉をやろうと言った時に日本は全力で取りに行くべきだと主張した。同時にこれは最後の交渉であり、日本がもたつけば、プーチンは日本を見切り、問題は動かなくなってしまうと警告した。
これらの問題が今後どうなるのか。東郷氏が指導者らの意識やリーダーシップ、認識によって事態は変えられると強調したのが印象に残った。
NHK解説主幹 山内 聡彦
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