買い占めも一因?検査キット不足「今週中に底をつく」打開策“みなし陽性”に賛否(2022年1月26日)

新型コロナ新規感染者の数は26日、33の都道府県で過去最多となり、全国で初めて7万人を超えました。

東京都で確認された感染者は1万4086人。病床使用率も、小池知事が緊急事態宣言の要請を検討するとした50%に近付いています。

都内の濃厚接触者数はすでに45万人に達しているとの試算も出ています。東京の人口からすると、約30人に1人が濃厚接触者ということになります。

こうしたなか、検査を受ける人が増えたことで、検査キットが足りない事態となっています。

日本医師会・中川俊男会長:「日本医師会として、検査キットの緊急増産を政府にお願いする。抗原検査キットが医療現場に不足している。まずは医療機関に優先的に供給して下さい。この不足の一因として、一部の医療機関でないところで買い占めが起きているのではないかと伝えられています。速やかに実態を調査し、しかるべき改善をお願いする」

名古屋市のクリニックでは、このままだと抗原検査もPCR検査も今週中にキットが底をついてしまうといいます。

みわた小児科・三輪田博介院長:「コロナのキットがなくなるのは、将棋でいったら“詰み”ですね。非常に困った状態」

小さな子どもの命を守る小児科ならではの事情もあります。

みわた小児科・三輪田博介院長:「赤ちゃんは物を言わないし、どこが痛いかも何も言わない。逆にコロナじゃなかった時に、何か他の重い病気が隠れている。そういう診断をしなくてはいけない。その診断ができなくなっちゃう。『コロナかもしれないから、もう一日(様子を)みようか』という一日が命取りになる場合がある」

品薄となっている医療用の抗原検査キットについては、すでにメーカー各社が増産を始めていて、需要の急拡大に対応する構えです。

しかし、受診したくても、すぐにとはいかない地域も出てきています。そこで、厚労省は新たな方針を示しています。

後藤厚生労働大臣:「発熱等の症状がある方であっても、重症化リスクが低いと考えられる方は、医療機関の受診前に、まずは検査キット等で自ら検査したうえで、医療機関を受診することを呼び掛ける」

医療機関では、新たな方針での診療が始まっています。医師がパソコンの画面越しに症状や経緯を聞き取ります。

男性患者(50代):「(検査キットで)高リスクと結果が出てしまったので」

医師:「会社にもコロナ陽性者がいるし、市販のキットで怪しい(陽性疑い)と出ているので、しかも症状も典型的ですから、臨床診断だが、状況証拠からコロナと診断してもいいのかなと」

クリニックでは検査を行わず、陽性との診断をしました。その根拠について、こう話しています。

ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長:「一番は症状。症状が新型コロナとして典型的であるかを一番重要視している。職場での陽性者が身近にいたことと、自身で検査して引っかかったので」

これまで、陽性と診断するには医療機関での検査が必要でした。それが今回、重症化リスクの低い患者の場合、検査キットを使って自ら検査しておけば、医療機関で検査を受けることなく陽性と診断できるようになりました。

医療機関による検査なしでの診断を認めるかどうかは、自治体の判断に委ねられています。田代院長は25日と26日で、すでに5件の発生届を出したといいます。

ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長:「一番大きなメリットは、今、発熱外来がひっ迫していて、検査を受けられない人も出てきている。検査をするための抗原検査のキットだったり、PCRのための試薬も減ってきているところで、検査頼りも限界があるのかもしれない。臨床診断は物質的な不足を補うことができるのではないか」

ただ、医療機関で検査をせずに診断を行うことに、異論も少なくありません。

ナイトドクター・菊地拓也代表:「今、風邪なのか、コロナなのか、インフルエンザなのか、はたまたこの先いくと花粉症まで出てくるので、すべて類似した症状になる。検査なくして評価できるか、そんなバカな話はないと思う」

現在、自宅療養者が急増しているため、薬を処方できる、発症から5日以内に間に合わないケースも増えているといいます。さらに、検査をしないで診断するとなると・・・。

ナイトドクター・菊地拓也代表:「検査をしないと処方できないと思う。これはコロナに対しての薬であって、コロナであるかどうか評価がない人に使っても無意味。薬は正しい治療に使うためにあるので、正しい評価が出てないことに治療として使えるかというと使えない」

医療ひっ迫を回避する鍵となるのは、ワクチンの3回目接種。ただ、国内で接種を終えた人は2.3%で、先進国で最低の水準です。こうした現状について、国会では野党が政府を追及しました。

立憲民主党・江田衆院議員:「オミクロン対応にワクチン3回目接種は間に合わなかった。それだけで岸田政権の責任だと思うが」

岸田総理:「1回目、2回目のタイミングは各国と比べて遅れてしまった。そのために間隔を空けて行わなければならない3回目接種について、今年の1~2月がピークを迎える、ワクチン接種が本格化する、こういったタイミングになってしまった。しっかりと現実を受け止めて、しっかり接種を進めていきたい」

野党側は、なぜ日本が出遅れたのかを問いただしました。

立憲民主党・江田衆院議員:「(去年)12月の時点で、いくつもの自治体には(3回目を)打てる体制もあり、在庫もあった。イギリスのジョンソン首相は、最初は6カ月と言っていた。今は3カ月、4カ月でどんどん打っている。何でもっと早く、12月から打てる自治体から打たなかった。何で止めた。8カ月(間隔)だとして」

後藤厚生労働大臣:「当初、8カ月(間隔)という議論をしていたころは、オミクロン株の流行は進んでいなかった。イギリスも含めて多くの国が8カ月を基準としていた」

イギリスでは23日時点で、3回目の接種率が54.2%となっています。日本とイギリスの差がここまで開いた理由については、政府から具体的な説明はありませんでした。

後藤厚生労働大臣:「イギリスは、非常に(3回目接種の)数が多いことは紹介の通り。しっかりやらせて頂く」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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