感染が急拡大し医療への負荷が懸念される中、政府は今週医療機関を受診しなくても自主検査だけで感染したと判断する、いわゆる“みなし陽性“の仕組みを示しました。では医療現場は、今どれほどひっ迫しているのか、そしてこのみなし陽性で療養する際の注意点について池袋大谷クリニックの大谷義夫院長に話を伺います。
■医療現場の状況は?
(高島)
東京都は来週にも1日の感染者が2万4000人を超えるとの予測も示していますが、現在のクリニックの状況は?
(大谷院長)
発熱患者さんからの問い合わせで電話が鳴りやまないような状況。実際に発熱外来では20名以上の患者さんを看ていますが、それでも対応しきれないような状況です。またこの1週間で、若い方の感染から中高年の患者さんの感染に移行しつつありまして、実際に入院となった患者さんも複数いらっしゃいます。
(高島)
入院される方も増えてきているということですが、オミクロン株は重症化しにくいと言われてましたけれども、具体的にはどういった診察をされてるんでしょうか?
(大谷院長)
PCR陽性で、軽症や基礎疾患のない方に関しては解熱鎮痛薬を処方させて頂いて、熱を下げる、頭痛の痛みをとるような治療になります。また重症化リスクのある基礎疾患のある方、高齢者や肥満の方は重症化を予防するモルヌピラビルという薬を処方しています。この3週間で36人に処方していますが、薬局では3名分の在庫しか抱えてはいけないことになっているんですが、1日に6人、7人と処方した日もあるので、3人分の在庫しか置けないという制限は是非緩和してほしいと思います。
(高島)
モルヌピラビルが足りていないということなんでしょうか?
(大谷院長)
供給が追いつかないということがあるかもしれませんが、予想以上に感染爆発をしているという事、また軽症者だけでなく高齢者や基礎疾患のある方々が、実際に感染して処方せざるをえなくなってるっていうのが事実だと思います。
■「検査なし」での“みなし陽性“について
(高島)
こうした中、政府は今週みなし陽性という仕組みを打ち出しました。
(板倉)
医療機関の検査負担軽減のため、自治体の判断で、感染者の同居家族などの濃厚接触者が発熱した場合、検査なしでも医師が陽性とみなして保健所に連絡するというものです。
きのうから大阪府では運用が始まってるわけですが、それほど医療現場では検査体制が難しくなっているんでしょうか?
(大谷院長)
検査体制は非常に厳しい状況です。PCR検査を行うための検査薬も1週間2週間前から不足しておりますし、この1週間でPCRを行うために唾液を入れる容器すらも足りなくなってきて、私のクリニックでも、あと1週間で在庫がなくなるかもしれない。つまりは1週間後にはPCR検査はできなくなってしまうかもしれないんです。
■「医療機関の受診なし」での“みなし陽性“について
また外来診療が逼迫して受診できない場合は、症状が軽く重症化リスクが低い人は自分で検査をして、結果が陽性の場合は自治体の健康フォローアップセンターに連絡をして健康観察をしながら、自宅療養をするという“みなし陽性“も認められています。
医療現場の負担を抑えるため、自分がコロナ疑いと感じたときにどういう行動をとるのが適切なのでしょうか?
(大谷院長)
検査を拡充すること、検査体制を確保することが一番ですが、現状この状況をなんとか乗り切る為には、コロナ疑い、風邪症状のある方は無理して学校や仕事に行くことを我慢して、風邪症状があった場合には1週間仕事を休む、学校を休む勇気も必要かと思います。
(高島)
抗原検査キットが手に入らなくなってきている状況ですが、自分で検査をして自分で判断する場合、どんな点に注意したらよいのでしょうか?
(大谷院長)
抗原検査というのは決して感度が良いわけではないので、1回陰性だから絶対大丈夫とは言えず、複数回の検査が必要になることもあります。また、もう一つ重要なこととして、若くて軽症で基礎疾患のない人でも、肥満の方は重症化のリスクがありますから、BMI30以上の人は重症化を予防するモルヌピラビルの適応になります。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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