繰上げ(繰下げ)をした場合の加給年金はどうなるの? 具体例で解説

本題に入る前に加給年金について、ざっくりと制度の概要について、振り返っておきたいと思います。

加給年金は、自分の年金とは別に、年間で約39万円も受給できる、とてもありがたい年金なんですね。

加給年金を受給できる人は「厚生年金に20年以上加入した人で尚且つ65歳になった時点で配偶者がいる人もしくは子がいる人」ということになります。

年下の配偶者や子がいることでもらえる年金なので、別名「年金の家族手当」と呼ばれることもあります。

なお配偶者は、歳下であること、また子は18歳到達年度の末日までの子、となっていて、いづれいも生計を維持されている人であることが前提条件になっています。

「18歳到達年度の末日まで」とは、子供の18歳の誕生日が終わって最初に迎える3月31日までということになります。

つまり高校を卒業する前であればOKですよ!ということですね。

なお加給年金は、一生受給できるわけではなくて、ある時期が来ると支給停止される!ということになっています。

このある時期とは、歳下の配偶者が65歳になった時、もしくは、子が18歳到達年度の末日を過ぎた時、ということになります。

なお配偶者には、他にもいろいろと細かい要件があるのですが、ここでその事を説明するとかなり長くなってしまいますので、今回は説明を省略したいと思います。

因み加給年金の額ですが、先ほど「年間で約39万円」と言いましたが、子供の人数が多い場合はこれよりも多い金額を受け取れることになっています。

以上が 加給年金の概要になります。

今回の動画では、歳下の配偶者がいる場合に、繰上げ受給をした、もしくは繰下げ受給をしたら加給年金はどうなってしまうのか?ということについてお話したいと思います。

今回の内容ですが下記の通りです。

 1番目 繰上げ受給をした場合の加給年金

 2番目 繰下げ受給をした場合の加給年金

 3番目 老齢基礎年金だけを繰り下げた場合

1番目 繰上げ受給をした場合の加給年金

繰上げ受給をした場合「加給年金までを繰り上げて受給することはできない」ということになっています。

つまり、繰上げをしても加給年金は、65歳になるまではもらえない!ということですね。

例えば、会社員の夫とその夫に生計を維持されている5歳年下の妻がいたとします。

夫が繰上げをした場合と、しない場合でどう違うのか、比較してみたいと思います。

まず最初に繰上げをしない場合ですが、夫が65歳になると夫の老齢厚生年金に加給年金が毎年約39万円加算されて、妻が65歳になると加給年金は支給停止されるということになります。

加給年金の総額ですが、加算期間が5年間ですから「約39万円x5年間」となって約195万円という事になります。

次に繰上げをした場合ですが、仮に夫が60歳から年金を受給するとした場合、加給年金は繰上げをしても65歳になるまではもらえないということになります。

なお繰上げ受給をした場合、年金は減額されることになっていますよね。

その減額率ですが、現時点では1ヶ月当たり0.5%となっていて、来年の2022年4月から改正されて0.4%になるという事になっています。

ですからこのケースの場合だと、減額率は、現時点は「0.5%x12ヶ月x5年」となって30%の減額、2022年4月以降は「0.4%x12ヶ月x5年」となって24%減額ということになります。

なお、0.4%の減額率が適用される人は昭和37年4月2日以後生まれの人、つまり2022年4月1日以降に60歳になる人となっています。

2番目 繰下げ受給をした場合の加給年金

繰下げをした場合、加給年金は「老齢厚生年金を繰り下げている間は受け取ることができない」ということになっているんですね。

例えば、会社員の夫とその夫に生計を維持されている5歳年下の妻がいたとします。

まず繰下げをしない場合ですが、これは先ほどの 繰上げで説明した話と同じです。

つまり夫が65歳になると、夫の老齢厚生年金に加給年金が毎年約39万円が加算されて、妻が65歳になるとこの加給年金は支給停止されるということですね。

加給年金の総額は約195万円という事になります。

では繰下げをした場合はどうなるのか、ということですが、仮に夫が70歳から年金を受け取るとします。

その場合、「加給年金は老齢厚生年金を繰り下げている間は受け取ることができない」ということになっていますので、70歳になるまでは加給年金はないということになります。

夫が70歳になると、通常はその時に加給年金が老齢厚生年金に加算される、ということになるのですが、

この夫婦の歳の差は5歳ですから、夫が70歳になると、妻は65歳になるので、加給年金は加算されない!ということになるんですね。

因みにこの夫婦の場合だと、約195万円の加給年金を失う事になります。

このように繰下げをすることで、本来ならもらえるはずの加給年金がもらえなくなる!ということがあるので注意が必要です。

なお、夫婦の歳の差と繰下げる期間によっては、もらえる場合もありますのでケースバイケースで考える必要があります。

それと繰下げをする場合にもう一つだけ、注意してほしいことがあります。

それは、繰下げることで年金の額面上の金額が増えても、同時に税金や社会保険料も増えるので、思ったほど手取額が増えない可能性がある!ということです。

3番目 老齢基礎年金だけを繰り下げた場合

そもそもですが、繰下げ受給の選択をする場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰り下げることができるという事になっているんですね。

例えば、老齢基礎年金だけを繰り下げるとか、老齢厚生年金だけ下げる、ということができるわけです。

一方加給年金は、老齢厚生年金に加算される年金となっています。

なので、老齢基礎年金だけを繰り下げて老齢厚生年金は65歳から受給をすれば、老齢基礎年金の額を増やしながら加給年金を受け取ることができるということなるんですね。

なお繰り下げできる年齢は、現時点は70歳までとなっていますが、2022年4月からは改正されて、75歳までとなっています。

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