【独自】「もう諦めます」多発する“搬送断念” 救急崩壊の実態とは?

 新型コロナの全国の重症者がきょう、3か月ぶりに過去最多を更新しました。入院調整が追いつかず、自宅待機を余儀なくされる患者が増える中、更に救急車を呼んでも病院にたどり着けない状況も各地で深刻さを増しています。

 慌ただしく出動する千葉市の救急隊員。自宅で症状が急変した時の頼みの綱である救急現場も、限界に近づきつつあります。
 「特にコロナの患者さんに関しては、病院が全然決まらないで(電話の問い合わせが)50回以上という救急が、もう散見されているような状態です」(千葉市消防局救急課 新浜秀樹課長補佐)

 あちこちの病院に50回電話しても、救急患者の受け入れ先が決まらないケースも出ているというのです。
 「(入院まで)3時間以上っていうのがかなり増えてきまして、最長で8時間17分っていう長さになってしまいました」(千葉市消防局救急課 新浜秀樹課長補佐)

 行き場を失うコロナ患者。全国で、新型コロナに感染して入院できている人のうち「重症者」とされる人の数はきょう、過去最多となりました。

 「連休前にまた30代の方が救急車で搬送されてきました。既にかなり重篤な状態で、すぐに高度医療機関へ移動しなければならない状態。要請をかけましたが、やはり調整不可能ということで、同じような方がすでに100人以上待っていると。自宅にも同じような方が沢山待っている」(東京都医師会 大坪由里子理事)

 感染爆発に入院調整が追いつかない状況が深刻となる中、東京では・・・。
 「先月末、コロナに感染した50代の男性は自宅に帰る途中、江東区の路上で呼吸困難に陥ったということです」(記者)

 自ら119番通報した男性。駆けつけた救急隊は、およそ100か所の病院に連絡するも、受け入れ先が見つかりませんでした。通報から8時間がたってようやく受け入れてくれたのは、50キロも離れた八王子市内の病院でした。東京では、今、5つ以上の病院に断られるか20分以上調整がつかない救急患者は、1日あたり138.6件と過去最多になっています。

 そして今、更に深刻な事態が起きています。それが“搬送断念”。
 「“災害”というのにふさわしい状況」(東京都医師会 猪口正孝副会長)
 「大雨もコロナも同じ、災害になります」(小池百合子知事)

 “災害レベル”の感染爆発で、救急搬送を断念せざるを得ない危機的な状況が現実となっているのです。今週、コロナに感染し呼吸困難を訴えて救急車を呼んだのは、都内に住む20代の女性。関係者によれば、その時、女性の血中酸素濃度は入院が必要となる目安の「96%未満」を下回る90%台前半でした。救急隊は、数時間にわたって入院先を探しましたが見つからず・・・。
 「仕方ないので諦めます」(女性)

 女性は自ら救急搬送をあきらめたといいます。

 「中等症は原則入院。例えば中等症で肺炎の所見があり、息苦しい人は入院するのが当たり前の話」(田村憲久厚労相)

 政府は、中等症の患者も入院の対象としていますが、東京では、実際には入院調整が追いつかず、酸素が必要な状態でも自宅待機を余儀なくされるケースが相次いでいるのです。

 そして、千葉県の消防では、救急隊が軽症と判断した患者は、病院に搬送することなく自宅療養を頼まざるを得ないケースも増えているといいます。
 「全てが全てをやはり、運ぶわけにはいかない状況。ジレンマっていうんですかね、本来運ぶべき仕事、業務が我々のところが、運ばないという選択肢をせざるを得ないような状況というのは、救急隊とてもストレスなのかなと思います。やはりこの先(感染者が)どんどん増えていくと、我々一体どのようにどういうことをしていけばいいのかというのが答えがない問題なのかと思います」(千葉市消防局救急課 新浜秀樹課長補佐)
(13日17:04)

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