■重症「満床」も1床増で対応
慌ただしく病院の廊下を走る医師ら。消防から「コロナ陽性の患者さんになるんですけど」と要請が入り、「収容は難しいですけど…」と医師が応じます。
新型コロナウイルスの重症患者を受け入れる、東京・文京区の日本医科大学付属病院。13日、内部を取材すると、お盆休み中も深刻な状況でした。
重症病床はすでに満床でしたが、それでも1床増やし、近隣の病院から要請があった重症患者を受け入れることにしました。
■医師「助からない人が出る」
すると、また電話が鳴りました。電話を終えた高度救命救急センター長・横堀將司医師は「もしかしたら、より重症の患者さんを受けるかもしれない」と言いました。同じ病院からの、予定していた患者とは別の重症患者の受け入れ要請でした。
横堀センター長は他のスタッフに「2人ともお受けした方がいいんじゃない」と話しかけます。
調整を急ぐ医師ら。重症患者を受け入れる代わりに、症状が改善した入院患者を受け入れてもらうことで、病床を確保することにしました。
容体の急変に備え、車内で手術もできる特別な車両を派遣し、なんとか2人とも受け入れることができましたが、治療に当たった医師はこう言いました。
「病院に来て治療を受けられれば助かりますけど、最高の治療が受けられない…つまりもう病床がいっぱいになっちゃうと、助からない人が出ます」
■ベッド増も足りず…要請に「無理です」
息つく間もなく、ひっきりなしにコールが鳴ります。
消防
「COVID(コロナ)疑いの方のご相談です」
医師
「ちょっと今、ECMO(体外式膜型人工肺)導入したりとかしてますので、今は、ごめんなさい、無理です」
増やしても増やしても足りない病床。搬送要請を断らざるを得ません。
横堀センター長
「もちろん、救急車で運ばれてくる患者さんで救急搬送中に悪くなってくる場合は、対応しなければいけないと思うんですね。じゃあ現実、ベッドが満床の中で、そういう方のベッドを工面できるかというと、到底難しい状況ですね」
このインタビュー中にもコールが鳴りました。
■23区の病院受け入れ「全部ダメ」
そんな中、別の救急車が到着し、自宅療養中だった40代男性が運ばれてきました。
医師
「どこも(搬送先)決まらないんだ」
救急隊員
「そうですね。23区すべて全部ダメで」
男性は容体が急変し救急車を要請したものの、搬送先が見つからず、10時間以上、救急車の中で待機しているといいます。
医師
「オペ室にいったん入れて、診ます。どうしようもないので」
急きょ、手術室で応急処置をすることにし、並行して搬送先の病院探しが続けられました。
感染者が増え続ける状況を、横堀センター長はどう見ているのでしょうか。
「今、まだこの状態で、まだ感染者数が下がり始めていないというのは…やはり考えると、ちょっとゾっとしますよね。明らかに医療の需給バランスが崩れているので、『これはもう災害なんだ』ということを、改めてみんな知るべきです」
(8月16日『news zero』より)
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