新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)の発端となった中国・武漢市の封鎖が8日午前0時、2カ月半ぶりに解除されました。封鎖解除直前、建物や橋が一斉にライトアップされ、解除までのカウントダウンを行うなど、街はお祝いムードに包まれました。一夜明け、人々が移動を始め、ターミナル駅の前には、長蛇の列ができ、8日だけで約5万5000人が列車で武漢を出る見通しだといいます。空港も再開され、応援に来た医療従事者などが地元へ帰りました。
中国の衛生当局は、中国本土の感染者が7日に新たに62人増えて、8万1802人となり、2人が死亡したと発表。これで、中国本土の死者は3333人となりました。
しかし、死者数の中に亡くなったおじが含まれていないという女性がいます。女性のおじは1月末、咳(せき)などの症状があったため、CT検査を受け、肺に影が見つかりました。女性は、おじが高血圧だったこともあり、新型コロナウイルスに感染していたと考えています。しかし、治療もPCR検査も受けられず、呼吸困難に陥りました。女性は「当初、武漢市では1日あたり200個の検査キットしかなかった。患者に回ってくるはずがない。検査能力が足りなかったのか、それとも検査をしたくなかったのか、その理由はわからない。指定病院ではなく、『近くの病院で注射とかの治療を受けられる』と言ってくれていたら、うちは絶対に指定病院なんか行かず、近くの病院で治療を受けていた」と語ります。
おじは、CT検査から、わずか3日後に亡くなったといいます。女性は「薬投与や注射など、きちんと治療さえ受けられれば、きっと生き残れたと思う。しかし、そのチャンスはなかった」と憤りを隠せません。そのうえで「アメリカもスペインもイタリアでも深刻な状況なのに、死亡した人が3000人なんてあり得ない」と話し、政府の発表に疑問を持っています。
◆現地からテレビ朝日・中国支局 森林華子記者が報告
武漢市内の繁華街は、新型コロナウイルス流行前は若者でにぎわっていましたが、今は、そのにぎわいがありません。レストランでは食事できず、今はテイクアウトだけが許されています。武漢の市民に取材しましたが、封鎖が解除されても「安全だ」という人は1人もいませんでした。「外に行くと感染のリスクがあるから家にいる」などと話します。当時、医療崩壊を起こした武漢について「生き地獄だった」と振り返る人もいます。中国政府は封鎖解除に踏み切りましたが、特に大切な人を失った人々にとっては、政府への不信感がより強くなっています。
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