自民党の総裁選が行われ、菅義偉官房長官(71)が新総裁に選ばれました。海外ではどのような反応なのでしょうか。まずは中国・北京から報告です。
(千々岩森生記者報告)
今回の総裁選は中国の複数のメディアが2時間にわたってネットで中継をしていました。非常に関心が高く、異例のことだと思います。そして、中国政府は14日午後に外務省の会見で、新総裁について「新たな総裁をお祝いしたい」「新型コロナウイルスと経済の面で協力を進め、日中関係を引き続き改善させていきたい」とコメントしています。そして、菅新総裁が正式に決まった後の中国メディアの論調ですが、菅新総裁が農家の出であるということを好意的に捉える見方が多いようです。「庶民に近い」「身分の壁を突破した」という記事も見られます。ただ、外交についても基本的に日米同盟を重視すると見ています。安倍総理大臣が進めていた日中関係の改善路線は引き続き続くという分析ではあるものの、一方で中国はいかにこれから日米の間にくさびを打ち込むかが大きな課題なので、ここについては難しいかもしれないという見方も広がっています。
続いてはソウルから報告です。韓国はどのように受け止めているのでしょうか。
(政治部・井上敦記者報告)
直後に速報こそ流れたものの、あらかじめ見えていた結果なだけに扱いは非常に小さいです。振り返れば、盛り上がっていたのは安倍総理の健康不安説報道から辞意表明まででした。総理の辞意を受け、青瓦台は「新たな総理と友好に向け協力していく」と早々に次の総理に言及していました。これを一部メディアは「誰であれ安倍よりは良いという文(ムン)政権の期待の表れ」だと分析しています。一方、当初から自民党なら誰でも同じだという見方もあります。どの候補者も韓国への厳しい姿勢が同じだと分かると、わずかに残っていた期待感や興味も縮んでいきました。その後、優勢だった菅氏が安倍政権の政策継承を表明すると、諦めムードとともに「菅は安倍の分身だ」というような報道も出ています。今後の日韓関係の試金石として日中韓サミットが年内にソウルで開かれるかが注目されるという声もありますが、元徴用工問題を巡る現金化リスクがあるなかで総理の訪韓は現実的ではなく、改善の兆しは見えていません。
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