2009年に鳥取市で起きたタクシー強盗殺人事件から今年で15年となります。未だ解決していないこの事件。犯行現場となったタクシーは、発生当時からそのままの状態で残されています。
2009年7月17日。鳥取市立川町の住宅街でタクシー運転手の下田和雄さん(当時60歳)がタクシーの車内で何者かにより銃で撃たれ殺害された未解決事件。2010年の法改正で殺人や強盗殺人などの公訴時効が廃止され、時効の成立していない事件にも適用されたため、現在、この事件に時効はありません。
犯行現場となったタクシーの運転席の窓の下あたりには、銃弾がめり込んでいるといいます。
鳥取警察署 福田将之 刑事第一課長
「運転席で普通に座っていたらタクシーのシートに穴が空いていたり、正面を(弾が)抜けてしまうのでガラスに弾が当たる。被害者の方は背中から肩甲骨のあたりに銃弾を受けて、弾は胸のあたりを貫通している。タクシーを降りようと横を向く、その体勢の際に背後から撃たれたのではないかとみられています」
今とは異なるデザインのタクシーの行灯。空気の抜けたタイヤ。止まったままの時間。フロントバンパーに積もったほこりが15年という月日を物語っていました。警察は犯人しか知りえない情報をこのタクシーから発見できる可能性を残す一方で、経年劣化により証拠が失われることも危惧しています。
鳥取警察署 福田将之 刑事第一課長
「私も発生当時から捜査には携わったんですけども、ご遺族の方とお話をするときに今でもやはり涙を流される、そういう姿をみていると月並みな言葉になるかもしれませんけど、事件はまだ終わっていないんだなと」
これまで捜査に当たった捜査員はのべ9万2000人。事件発生後、鳥取県ハイヤータクシー協会は、タクシー停留所に防犯カメラを設置しました。警察でも、イラストに具体性を持たせたポスターを新しく制作したり、駅の利用者に事件の詳細が記載されたホームページに繋がる2次元バーコードが入ったポケットティッシュを配ったりして継続した活動を行っています。
■事件は「捜査特別報奨金制度」の対象に…
「捜査特別報奨金制度」に、有力な情報の提供者には最高300万円の報奨金
そして、事件発生から14年経った去年、「捜査特別報奨金制度」の対象事件として指定され、犯人逮捕に結びつくような有力な情報の提供者には最高300万円の報奨金が支払われることになりました。
それに合わせ、警察ではJR鳥取駅北口で犯人を乗せたタクシーを見かけた可能性のある3人の男女の特徴とタクシーから見つかった足跡から予測される靴の特徴を公開しました。その結果、事件発生後2年間で約80件、その後2022年までは年間平均5件にまで減少していた情報提供の数は、報奨金制度に指定されてから今年4月末までに35件に増えたといいます。
■事件の風化を防ぐために私たちにできることとはー
鳥取警察署 福田将之 刑事第一課長
「発生当時生まれてない方が今中学生くらいになっているかと思うんですけど、今の子供たちはインターネット等で情報をうまく収集するので、興味を持って調べてみて当時を知っている方に話を聞いたり、そういうことから情報を得られるのかなと考えています」
当時、「似たようなタクシーを見た」など些細な情報でも構いません。警察では県内外の人に情報提供を呼び掛けています。"必ず事件を解決へ" 残されたタクシーはその信念の表れのようにも見えました。
(2024年5月30日放送 ニュースevery日本海より)
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